第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
強力ルーキーの初陣に期待の日本大学。
国士舘大学は留学生の快走で流れを作る。
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箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020
photograph byShigeki Yamamoto
posted2019/12/13 11:00
重要になる1区の位置取り。
それだけに非常に重要になってくるのが、そのヴィンセントにつなげる1区のランナーの位置取りだ。先頭が見える位置で繋げれば、ヴィンセントで再びの先頭奪取が見えてくる。昨季まで2年連続で1区を務め、力のあるランナーだった住吉が抜けた穴をどう埋めるかが大きな課題だろう。
前回大会でヴィンセント以外で唯一、1年生ながら箱根路を走った長谷川潤(2年)が春シーズンの不調を脱し、秋になって調子を上げており、コンディションが整えば来期以降の経験も考えると適任。他には2年前に6区の経験があり、今季も箱根駅伝予選会、上尾ハーフマラソンと好走し、長い距離に安定感のある4年生の福田有馬も堅実に大エースにつなぐことができるだろう。
山上りの5区には2年連続で大崩れせずに走っている主将の鼡田章宏(4年)が控えているだけに、序盤で上手く流れにのってシード権圏内で往路を終えたいところだ。
その鼡田を中心としたチームの最大の目標は1990年以来、30年ぶりとなるシード権の獲得。だが、その前に「総合15位と、最後までたすきを繋ぐこと」を掲げる。
最後までたすきを繋ぐために。
箱根駅伝では前回大会まで3大会連続でレース途中での繰り上げスタートの悔しさを味わっている。それだけに、無理に高い目標を掲げるのではなく、目の前の課題をしっかりとクリアすることを念頭に置いている。
「ヴィンセントだけに頼るのではなく、一人ひとりがチームのことを考えて走ればたすきはつながるはずだと思っています」
そう鼡田主将が語るように、突出したエース頼みになることなくチーム全体で戦う意識を持って、箱根駅伝本大会に臨む。
添田駅伝監督もその意を汲み取る。
「たすきがきちんと繋がれば、結果としてシード権も見えてくると思います。繰り上げになってしまうと(それ以降のランナーの)たすきの色が他のメンバーと違ってしまう。何としてもたすきを最後まで繋ぎたい」
今季は東京五輪のマラソン代表を争う9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)や12月の福岡国際マラソンで、国士大OBの藤本拓(現トヨタ自動車)や福田穣(現西鉄)が大いに大会を盛り上げる活躍を見せた。箱根駅伝の大きなスローガンのひとつでもある「箱根駅伝から世界へ」を体現している卒業生たちの頑張りも刺激にしながら、今季のチームは箱根路での躍進を誓っている。