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強力ルーキーの初陣に期待の日本大学。
国士舘大学は留学生の快走で流れを作る。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2019/12/13 11:00

強力ルーキーの初陣に期待の日本大学。国士舘大学は留学生の快走で流れを作る。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

実力者が揃う新入生たち。

 今季の日大の新入生は実力者が多い。昨年のインターハイ1500mで2位・日本人トップだった樋口翔太、その樋口に福井国体の5000mで勝利した八木志樹を筆頭に、1500mで14分30秒を切る選手が7人入学し、今後の期待が高まる選手たちが勢揃いしている。さらに札幌山の手高校を卒業後、実業団で走り続けてきた23歳の異彩を放つオールドルーキー、チャールズ・ドゥングもいる。

 なかでも、樋口はスピードだけではなく長い距離にも対応し始めている。箱根駅伝予選会では、1年生ではドゥングに次ぐチーム3位の記録(1時間4分33秒)で走り切る。さらに11月の日体大記録会では10000mでも自己新をマーク(28分43秒88)。本人も「だんだん距離には慣れてきました」と自信ありだ。

 高校時代にケガからの長期離脱を経験している樋口は、継続してトレーニングすることの大切さ、故障をしない大事さをよく知っている。だからこそ、日大進学後も故障なくトレーニングを積み重ねることができ、その成果が自己新となって現れている。

「荒削りな部分はありますが、これから力をつけていける選手。チームのエースになってもらいたい」と武者駅伝監督も期待を寄せる。

日本大学、古豪復活への第一歩。

 もちろん武者駅伝監督が期待を寄せるのは、樋口だけではない。八木も「長距離は樋口よりも走れる可能性があると思います」と評価。全国大会経験者の松岡竜矢や若山岳らも安定した力を持っている。彼らがこれから4年間、いかに故障せずにトレーニングを積み重ねることができるか。将来が楽しみなチームとなったことは間違いない。

 存在感のある1年生がいて、本大会経験者が多くいれば、6年ぶりのシード権獲得も見えてくる。

 だが、現実はそう甘くはない。4年生になったエースの阿部は、夏以降に腸脛靱帯を痛めて戦線離脱。箱根駅伝のエントリーに間に合わなかった。スピードランナーとして期待されている北野太翔(2年)も調子が上がらずメンバーから外れた。さらに、箱根駅伝予選会でチームを救う走りをした3年生の小林陸大は、その予選会で足を骨折。小林の将来を考え「無理はさせたくない」(武者駅伝監督)ところだ。

 それでも、日大は前を向く。

 人は、未来に希望があれば、どんな状況でも前を向くことができる。その希望の光となるのが、樋口をはじめとする1年生たち。彼らには、物怖じすることなく思い切った走りをしてほしいところだ。それが必ず、日大の未来の希望となるのだから。

 日大は今、古豪復活への第一歩を踏み出した。

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