第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
強力ルーキーの初陣に期待の日本大学。
国士舘大学は留学生の快走で流れを作る。
text by
箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020
photograph byShigeki Yamamoto
posted2019/12/13 11:00
国士舘大学
第96回箱根駅伝予選会:8位
第95回箱根駅伝(前回大会):18位
4年連続、48回目
エース留学生の持つ力は強力。
そこに繋ぐランナーの位置取りが重要。
文=別府響
優勝候補の青山学院大学でもなければ、東海大学でもない。二枚看板を並べて勝負に出た駒澤大学や、中央大学でもない。
先頭でやって来たのは、多くが予想しなかった青色のたすきだった。
昨季、行われた第95回箱根駅伝。
「花の2区」を終えた戸塚中継所を46年ぶりにトップで通過したのは、国士舘大学。
大方の予想を裏切る“逃げ”が決まったのは、1区を走った住吉秀昭(現スバル)が先頭と19秒差の9位で繋いだたすきを、当時1年生で2区を走ったライモイ・ヴィンセントが一気にトップまで押し上げたからだった。
留学生ランナーはハイペースで突っ込み、それを維持できるところまで押し続けて、最後は粘り切るという走りをすることが多い。だが、ヴィンセントは1年生にもかかわらず、序盤は速いペースで飛ばして入り、そのあといったんペースを落としてリズムを作るというクレバーな走りを見せる。
そして、残り1km地点で素晴らしいスパートをみせると、前を行く東洋大と中大の2チームを抜き去り、見事に先頭で戸塚中継所へと飛び込んだ。
「ヴィンセントは今年も調子は良い」
箱根駅伝予選会を8位で通過した今季も、国士大のキーパーソンになるのは間違いなくそのヴィンセントだろう。昨季の箱根駅伝後も、3月にイタリアで行われたストラミラノ・ハーフマラソンでは、日本記録を上回る60分10秒という驚異的な走りを見せた。
夏にかけてのトラックシーズンでは思うような結果が出なかったものの、9月には10000mで27分台に迫る28分3秒74という自己ベストをマーク。10月に行われた箱根駅伝予選会でも、気温が高いコンディションにもかかわらず、本大会出場校のランナーの中ではトップ(全体2位)となる61分37秒で走り切りロードへの適性の高さを見せつけた。
チームを率いる添田正美駅伝監督も絶対的エースには信頼を置く。
「ヴィンセントは今季も調子は良い。狙った大会できっちり結果を出せるのが彼のよいところだと思います」
昨季同様、11月にはアフリカで最終合宿を行うなど、調整にも余念がない。本人は「2区で66分台」を目標にしているが、大きな調整ミスがなければ、それに近い記録で走ることは間違いないだろう。