第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
強力二枚看板で往路に自信の創価大学。
筑波大学26年ぶりの箱根路は“覚悟”の賜物。
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箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020
photograph byYuki Suenaga / Shigeki Yamamoto
posted2019/12/12 11:00
筑波大学
第96回箱根駅伝予選会:6位
第95回箱根駅伝(前回大会):不出場
26年ぶり、61回目
逆境を乗り越えた4年生の想い。
箱根路で見せるエースの背中。
文=小堀隆司
じつに26年ぶり――。
箱根駅伝の舞台に、国立大の筑波大学が帰ってくる。
本大会出場を決めた今季の第96回箱根駅伝予選会、43校中6位での突破が発表されると、会場はその日一番の歓声に包まれた。
涙を流し、喜びを爆発させる部員が多い中、少し控えめに勝利の余韻にひたっていたのが金丸逸樹だ。
出場した選手の中で唯一の4年生。役割は、エース。この日もチーム最速のタイム(ハーフ1時間3分53秒)を叩き出し、個人順位13位(日本人7位)でチーム躍進の原動力になった。
上級生の力は今後、箱根駅伝を戦っていく上でも欠かせない。だが、周りを見渡すと4年生の姿が極端に少ない。
理由を聞くと、金丸からはこんな答えが返ってきた。
「6月に全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会があったんですけど、筑波大はタイムが足りず、それに出ることすら叶わなかったんですね。そこでちょっとしたクーデターが起きたというか……」
2つの方向性に分かれたチーム。
つまりは、こういうことのようだ。
部員の本気度に疑問を抱いた弘山勉駅伝監督が、練習に取り組む姿勢の甘さを指摘。そこから部員だけの話し合いが持たれるようになった。より厳しく練習に取り組みたいという声が上がる一方で、自由な環境で個人の力を伸ばしたいという意見も少なからずあり、チームは2つの方向性に分かれる。
週に4、5回、3時間を超えるようなミーティングを部員同士で重ねた結果、4年生を中心にしたトラック種目を優先したいグループが長距離ブロックから別のブロックに移ることになり、箱根駅伝出場に注力したい3年生を中心に現行のチーム体制が確立したというわけだ。