第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

強力二枚看板で往路に自信の創価大学。
筑波大学26年ぶりの箱根路は“覚悟”の賜物。 

text by

箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

PROFILE

photograph byYuki Suenaga / Shigeki Yamamoto

posted2019/12/12 11:00

強力二枚看板で往路に自信の創価大学。筑波大学26年ぶりの箱根路は“覚悟”の賜物。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga / Shigeki Yamamoto

起伏を使った練習ができる強み。

 八王子市にある創価大は、すぐ裏には山もある場所。学内にある寮から数十m上がれば山の中に入っていくクロカンコースがあり、近くには実業団チームも使っている別のクロカンコースもあるという好環境だ。築舘も「関東の中でこれだけ起伏を使った練習ができる大学はそんなにないと思うので、その恵まれた環境を存分に使って、しっかり準備をしていきたいと思います」と表情を輝かせる。

 さらに築舘は、主将としてチームにも自信を見せる。

「箱根駅伝予選会は無事に突破しましたし、一人ひとりの選手の特性を見てみれば、箱根駅伝向きのチームかなと自分では思っています。適材適所の配置でうまく流れに乗って力を発揮できれば、けっこう面白い戦いが出来るんじゃないかなと思っています」

 個々の戦力を見れば、10000m27分38秒5、ハーフマラソン1時間1分59秒のベストタイムを持つ留学生のムソニ・ムイル(4年)がいて、エースの米満もいる。米満のハーフマラソンのベストタイムは1時間3分19秒だが、これは気温の高かった箱根駅伝予選会で出したもの。まだまだ縮められる余地を持っており、他校のエース級とも十分に戦えるレベルだ。

 それに続く嶋津雄大(2年)も高校3年時には、10000mで日本人高校ランキング7位に入る29分48秒94を出している逸材で、11月の八王子ロングディスタンスでは自己ベストを出している。ハーフマラソンも2月から4カ月連続で走って耐性をつけ、最後の4月のぎふ清流ハーフでは1時間4分16秒を出している。

「5区も複数で競り合う形に

 榎木監督は本大会へ向け、「力のある1年生の葛西(潤)は1区を希望していますが、高校駅伝でも1区を走っていますし、クロスカントリーでも積極的に自分のペースを作っていける選手。同じように1区を希望している米満とムイル、それに1年のフィリップ・ムルワ(10000m28分38秒32)を加えた4人に1~3区を競わせようと思っています。嶋津は4区を希望しているんですが、復路に回せればそちらの層も厚くなる。往路はうまく流れればシード権圏内でフィニッシュできると思います」と話す。

 そんな状況だからこそ、重要になってくるのが5区なのだ。

 榎木監督も築舘の上り適性には信頼を置くが、「5区も他の区間と同じように、複数で競り合う形にしたい」とも言う。それは築舘も承知のことだ。

「僕の他にも上れるだろうな、という選手は2~3人いるし、嶋津も上らせればいけるだろうなと思います。自分もまだ5区と決まっているわけではないけれど、しっかりと自分の長所を磨き、みんなに『築舘さんにお願いします』といわれるような取り組みと準備をしていかなければいけないと思います」

 そう言って笑顔を見せる築舘。入学以来ずっと掲げていた目標を、ラストチャンスの箱根駅伝で実現し、チーム念願のシード権獲得へとつなげられるか――。その夢の実現は、主将としてのプライドと、大会直前までの調整にかかっている。

【次ページ】 筑波大学

BACK 1 2 3 4 NEXT

ページトップ