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サイ・ヤング賞投票の日本人記者語る。
勝利数より奪三振、そして説明責任。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2019/11/17 11:30

サイ・ヤング賞投票の日本人記者語る。勝利数より奪三振、そして説明責任。<Number Web> photograph by AFLO

奪三振が多く、四球が少ない。そしてホームランを打たれない。11勝でもデグロムの1位は誰もが納得だ。

シャーザーは離脱こそしたが。

 3位票(3ポイント)はシャーザー(ナショナルズ)、4位票(2ポイント)は柳(ドジャース)という順位で入れた。

 シャーザーはシーズン中に背中を痛めて約1カ月半も戦線離脱したので、10年連続の30試合登板も6年連続の200イニング登板記録も途切れたが(27試合172.1回)、K/BB(7.36)、K/9(9回あたりの奪三振率=12.69)、DIPS(2.39)がリーグ最高を記録。

 柳もリーグ最優秀防御率(2.32)の他に、同3位のWHIP(1.01)や同2位のK/BB(6.79)、同3位のERC(2.46)、同4位のDIPS(3.03)など平均的に数字が高く、それが他の8人の候補より上だと評価した理由だ。

最多勝のストラスバーグは5位。

 最後の5位票(1ポイント)はストラスバーグに入れた。

 ストラスバーグはナ・リーグ最多の勝利数(18勝)とイニング数(209.0回)で、同2位の奪三振(251)と、ひと昔の考え方ならサイヤング賞と獲得していたかもしれない。だが、他の数字が上位4人に及ばなかったのでこの順位になったし、実際の投票でも5位だった。

 投票の際に『投手の主要タイトル3部門にこだわらない』という意味では、ダルビッシュ有投手(カブス)が残した数字も参考にした。

 同投手もフラハティーのように前半戦は防御率5.01、WHIP1.340、K/BB2.27と苦戦したが、後半戦はナ・リーグ3位の防御率(2.76)、同2位のWHIP0.81、そして、2位デグロムの6.16を異次元レベルで突き放す同最高のK/BB16.86という数字を残したからだ。

 残念ながらシーズンを通じた成績は、前半戦の不調がフラハティー以上に響いて、ナ・リーグ3位のK/9(11.54)や同6位の被打率(.213)、同7位の奪三振(229 優勝を逃したことで最終登板を回避したので8個前後は増えていたと思われる)ぐらいしか、投票の対象となる数字はなかったが、後半戦は来季に期待が持てる数字がズラリと並んだ。

 最後になるが、それがどんな賞であれ、選出の記名投票は重要な任務であり、それを命じられるのは光栄なことだと認識している。無名投票で「書き逃げ」するわけにはいかないので、それなりのAccountability=説明責任もあると思っている。

 同業者に疑問を投げかけられればきちんと返答するし、ツイッターなどのSNSやこのコラムの書き込み欄で突っ込まれても、気づいた限りはなるべく返答したいとは思っている(記名投稿のみでno nameには返答しないけど)。

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