“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
逆境と葛藤を乗り越えてA代表復帰。
G大阪・三浦弦太の表情が晴れた。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/11/09 11:40
J1第30節湘南戦で完封勝利に貢献したG大阪DF三浦弦太。キリンチャレンジカップのベネズエラ戦のメンバーに招集された。
代表から遠ざかり、チームも無冠。
今季も3バック時には中央、4バック時にはCBと右サイドバックと、複数のポジションをこなすなど、チームに不可欠な存在であることに変わりはなかったが、3月末の親善試合を最後に代表から遠ざかる日々が続く。さらにチームでも前述したように残留争いに巻き込まれるなど、4年連続の無冠が確定するなど、なかなか波に乗り切れなかった。
「サッカー選手として、1回、自分を整理しようと思った時期もあった。ですが、それが逆に僕にとって良くなかったんです。自分の中でスタイルが確立してきたなと思ってしまったり、もっと余裕を持ってやろうとしてしまって、それがうまくいく時といかない時の落差に苦しみました。しかも、それがチームの結果にも繋がらなくて、一体どうしたらいいかといろいろ考え過ぎてしまったんです。
それを周りの人たちが気づいてくれたというか、仲の良い先輩からもガッツリではなく、遠回しに『あまり責任を感じすぎず、楽しんでやれよ』と言われたり、体を治療してもらっている先生からも『ギアが上がりきっていない感じだから、もう1回がむしゃらにやるのもいいと思うよ』などと言われたんです。その言葉にハッとさせられたというか、『ああ、周りから見ていると、俺はそう見えているのか』と。もう1度、がむしゃらにやらないといけない、変わらないといけない時期だと思えるようになったんです」
こわばっていた三浦の表情。
彼にのしかかった肩書きが自分の視野を狭めていた。「代表選手はこうあるべき」、「キャプテンは毅然としなければいけない」など、自分のあり方を必要以上に考え過ぎてしまった結果、負のスパイラルに入り込んだのだった。それは当時の彼のこわばっていた表情が物語っていたように思う。
「コンディションがなかなか上がらない時期もありました。今もMAXではないと思いますが、まだまだがむしゃらにやっていかないといけない年齢でもありますし、それがチームにいい影響を及ぼすこともあると思う。もっとがむしゃらになって、そこから自分の良さを出していこうと思えています」