“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
逆境と葛藤を乗り越えてA代表復帰。
G大阪・三浦弦太の表情が晴れた。
posted2019/11/09 11:40
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
代表メンバーが発表される3日前のことだった。
J1第30節湘南ベルマーレvs.ガンバ大阪。G大阪のキャプテンを務めるCB三浦弦太は晴れやかな表情を見せていた。
この試合は残留争いに身を置くG大阪としては、相手がプレーオフ圏である16位に勝ち点差4でいた湘南という、絶対に負けられない一戦。この戦いに3-0と快勝したことで、表情も晴れたのだろうか。いや、理由はそれだけではない。
「今はもう一度、一からやり直そうという気持ちで臨めています」
三浦は2013年に大阪桐蔭高校から清水エスパルスに入団すると、プロ4年目の'16年から頭角を現し、'17年にG大阪に完全移籍。クラブ伝統の背番号5を継承し、不動のCBとしてレギュラーを掴み取ると、日本代表にも選出され、ロシアW杯のアジア最終予選も経験した。チームでは昨年からゲームキャプテンも務め、今年1月のAFCアジアカップのメンバーにも選出。名実ともに日本を代表するCBの1人とステップアップしていた。
しかし、一気に増えた自分の肩書きにも苦しんでいるようにも見えた。
増えた肩書き、精彩を欠くプレー。
「自分の中でいろいろ考えることが増えたんです。代表活動やキャプテンもそうだし、チームの結果も伴わない中で、自分の中でいろいろ考え過ぎてしまっていた部分もあった。自分の立場という責任もそうですし、何より自分のパフォーマンスにも満足していない部分が多かったんです」
フル代表選手、キャプテン、5番。
これまで自分になかった肩書きが、G大阪にやってきて一気に増えた。
移籍1年目はフレッシュな気持ちでノビノビとプレーし、彼の武器である状況を的確に捉えたビルドアップを存分に発揮できた。その一方で、チームは低迷。優勝争いに食い込むべくシーズンをスタートさせたが、チームの状況とともに、彼のプレーもダイナミックさが薄れ、精彩を欠くようになっていった。
代表でも10月のキリンチャレンジカップ・ウルグアイ戦でGK東口順昭に送ったバックパスをFWカバーニにかっさらわれて失点を許すなど、らしくないプレーを続いた。
奮起をかけて臨んだ昨季も最後までギアを上げられず、9位で終えた。