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J2の昇格争い、柏の優位は不動。
自動昇格枠やプレーオフ候補は?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/10/25 19:00
16ゴールを決めるオルンガが柏を引っ張るが、それ以上にチームとしての総合力が頭1つ抜けている。
ヴォルティスの勢いは侮れない。
勢いなら7位の徳島ヴォルティスだ。8月17日の28節から7勝3分けと10戦負けなしで、前節は大宮をアウェイで下した。
J2を戦う者がほぼ漏れなく口にする「夏場から調子を上げていけるか」という昇格のポイントを、非常に分かりやすく満たしている。
スペイン人のリカルド・ロドリゲス監督率いるチームには、得点ランキング上位に名を連ねる選手がいない。それでも、リーグ5位タイの53得点をマークしている。接戦をモノにする粘り強さを持続し、まずは10月27日の水戸戦で勝利をつかみたい。
そのうえで、40節の横浜FC戦を迎えたいところだ。上位との直接対決がいずれもホームゲームなのは、彼らのアドバンテージになるだろう。
上位との直接対決を2試合残すチームが多いなかで、6位の水戸は徳島、山形、岡山との対戦が控えている。長谷部茂利監督が統べるチームは、自分たちから何かを起こせる立場にあり、昇格争いのキャスティングボートを握る存在でもある。
ベーシックな4-4-2を基本布陣とするこのチームにも、得点ランキング上位の選手は見当たらない。一方で、33失点はリーグで3番目の少なさだ。
34節の新潟戦と35節の大宮戦で2試合連続3失点を喫し、36節の柏戦でも2失点と、このところ失点がかさんでいた。それでも、37節の町田戦は1-1で終えた。堅守を取り戻すことが、クラブ初のJ1昇格の条件となる。
データが示すダークホース、甲府。
勝点60で8位の岡山は、得失点差のプラスが上位陣のなかで際立って少ない。勝点で並んだ場合は、不利な立場になる。CBにケガ人が続いている不安を払しょくするためにも、主砲イ・ヨンジェと3試合連続得点中の仲間隼斗を中心とした攻撃陣の奮起が必要だ。
プレーオフ圏内がターゲットの甲府は、データを揃えると無視できない存在になってくる。
残り5試合の対戦相手には、今シーズン1度目の試合ですべて勝っている。リーグ4位の55得点、リーグ最少5位の38失点と、攻守のバランスも悪くない。ここまで18ゴールで得点ランキング3位タイにつけるピーター・ウタカは、勝負どころを逃さないストライカーである。
ここから先はひとつの敗戦が脱落につながる立場だが、伊藤彰監督が束ねる甲府も昇格を巡るレースから外すわけにはいかない。
どのチームにも、ゴールは見えている。
だが、順位はまだ決まっていない。
様々な思惑と感情を抱えながら、各チームは11月24日の最終節まで息詰まる戦いを繰り広げていく。