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マリノスは選手が抜けても変わらない。
「ポステコ号」はJ1制覇へ辿り着く?
posted2019/10/24 08:00
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
Masashi Hara/Getty Images
横浜が実りの秋を迎えている。
残り5試合になって首位鹿島アントラーズとの勝ち点差は「1」。横浜F・マリノスの2004年以来となるJ1制覇が現実味を帯びてきた。
正直に告白すると、この躍進を予想していなかった。
昨季は12勝5分け17敗の12位。12位といっても16位のジュビロ磐田と同勝点。得失点差で入替戦行きを免れるのが精一杯だった。
不振の理由はハッキリしている。守備の破綻だ。
昨季、監督に就任したアンジェ・ポステコグルーは、自らの信条である「アタッキング・フットボール」の追求を約束した。
最終ラインを大胆に押し上げ、人数をかけてボールをつなぎ、断続的に攻め続ける――。
失点も多く、主力は次々と退団。
指揮官は宣言通りのサッカーを見せ、それはリーグ2位タイの56ゴールを生み出す。だが、同時に56失点を喫した。これはリーグで3番目に多い数字だ。
たくさん決めて、たくさん吐き出す。それが昨季の横浜だった。
波に乗ると手がつけられないが、中盤でのミスから広大な背後のスペースを突かれて失点するシーンが相次いだ。
そして昨季終了後、チームの象徴である中澤佑二を筆頭に、山中亮輔、中町公祐、伊藤翔、ウーゴ・ヴィエイラといった主力が次々と退団する。大幅に変わった陣容で、引き続き難易度の高いスタイルに取り組むのだから、「これはまた苦労するぞ」と考えたのだ。
だが荒波にもまれた「ポステコグルー号」は今季、順調な航海を続けている。