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J2の昇格争い、柏の優位は不動。
自動昇格枠やプレーオフ候補は? 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2019/10/25 19:00

J2の昇格争い、柏の優位は不動。自動昇格枠やプレーオフ候補は?<Number Web> photograph by Getty Images

16ゴールを決めるオルンガが柏を引っ張るが、それ以上にチームとしての総合力が頭1つ抜けている。

自動昇格の可能性があるのは8位まで?

 柏とともに自動昇格をつかむのはどこか。

 自力で2位以内を確保できる現実的なラインは、勝点60で8位のファジアーノ岡山までだろうか。各チームの残り5試合の対戦相手を見ても、勝点4差以内の7チームで順位の入れ替わりはあり得る。勝点58で9位のヴァンフォーレ甲府は、2位以内ではなく6位以内が現実に即したターゲットだろうか。

 2位の山形は攻守のバランスに優れる。50得点はリーグ11位だが、30失点は柏と並んでリーグ最少だ。上位2チームが自動昇格となる12年以降のリーグ成績を見ると、2位以内を確保した14チームのうち10チームは失点が試合数の42を下回る。

 データの上では昨シーズンの松本に近いタイプで、しっかりとした守備をベースとしたゲームプランの遂行が3度目のJ1昇格の条件になるだろう。

 勝点63で4位の大宮は、消化試合がひとつ少ない。残り試合が「6」なので、全勝すれば勝点を「81」までのばすことができる。自力で2位以内を確保できる立場だ。上位同士の直接対決は柏のみと、対戦カードも悪くない。

 もっとも、残り6試合の相手との今シーズン1度目の対戦は、引分けか敗戦に終わっている。勝っていない相手との試合ばかりが残っているのだ。

 J1での実績を持った選手の総数は柏に見劣りせず、高木琢也監督は横浜FCとV・ファーレン長崎をJ1に昇格させた実績を持つ。

 ただ、「ここぞ」という局面で勝利を引き寄せきれない。甲府までの上位9チームで水戸に次ぐ12引分けを記録しているのも、勝負強さに物足りなさを残してきたからだ。

横浜FC、若さと経験の融合。

 4位の横浜FCはベテランの顔が良く見えるチームだが、今シーズンはフレッシュな力が台頭している。

 プロ1年目の大卒ルーキー中山克広、仙台大学在籍中で特別指定選手の松尾佑介、U-20W杯にチーム最年少の17歳で出場した斉藤光毅らが、攻撃にはっきりとした勢いをもたらしている。36歳のMFレアンドロ・ドミンゲスと34歳のFWイバの老獪なホットラインが拠りどころだった攻撃に、バリエーションが生まれたのだった。

 カズこと三浦知良、中村俊輔、松井大輔、伊野波雅彦らの経験者の存在も、下平隆宏監督が率いるチームが昇格圏内へ浮上してきた要因だろう。'17年に長崎でJ1昇格を経験している田代真一が、ボランチとして守備を引き締めているのも大きい。

 6月中旬にスタートした不敗記録は、10月19日の37節でストップした。残り5試合の対戦相手には、7位の徳島ヴォルティスと8位のファジアーノ岡山が含まれている。およそ4カ月ぶりに喫した敗戦を引きずることなく、ライバルを自らの手で蹴落として2位以内へ浮上するというのが、彼らの思い描くシナリオだろう。

【次ページ】 ヴォルティスの勢いは侮れない。

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