草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
出場辞退に揺れる稲葉ジャパン。
「世界一奪回」へのポイントは?
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byGetty Images
posted2019/10/24 20:00
日本代表の1次合宿に臨んだ稲葉篤紀監督。「投球間隔は20秒まで」など、プレミア12で新たに採用されるルールへの適応力も注目される。
選考でカギを握る捕手と切り札。
【捕手を選別せよ】
今回選出された捕手は小林誠司(巨人)、会沢翼(広島)、甲斐拓也(ソフトバンク)の3人。しかし、プレミア12のロースターが28人なのに対し、東京五輪では24人と4人も減る。捕手3人制を敷く余地はない。守備力だけでなく、打撃力を考えれば森友哉(西武)を含めた4人が候補者となるだろうが、2人に絞るための作業はこの大会から始まっている。
【走攻投の切り札を探せ】
限られた選手で戦うということは、各部門のスペシャリストやジョーカー的な役割を担う選手の存在が、勝敗を分ける。走塁なら周東佑京(ソフトバンク)が切り札となる。日本シリーズでも、その圧倒的な走力が相手バッテリーに与える脅威を証明した。劣勢のときに、勝負の代走として起用し、起死回生の得点を生み出せるはずだ。その1枠を与えるだけの重みがあるかどうかが、今大会で試される。
攻撃面では外崎修汰(西武)の存在感も増してくるだろう。昨シーズンは外野を主に守り、浅村栄斗(楽天)が移籍した今シーズンは、内野を守った。外崎のすごみは単なる「ユーティリティ」にとどまらず、最強を誇る山賊打線の中でも光る打力をもっていることだ。内外野の誰かが故障したり、不振に陥ったときにはピタッと当てはめられる頼れる男となりそうだ。
投手陣のジョーカーは高橋礼(ソフトバンク)だろう。サブマリンから吹き上がる140キロ超のストレートが、外国人打者にどの程度通じるのか。今回は重要な試金石となる。第2先発だったり、中盤の苦しいイニングを支えてくれるようなら、継投のバリエーションは一気に増えるにちがいない。