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出場辞退に揺れる稲葉ジャパン。
「世界一奪回」へのポイントは?
posted2019/10/24 20:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Getty Images
稲葉ジャパンは出航早々から荒波にもまれることになった。
サンマリンスタジアム宮崎で合宿がスタートしたのが10月22日。選手が集結したその前日に、松井裕樹、森原康平(いずれも楽天)の2投手のプレミア12への出場辞退が発表された。どちらも肘に違和感を訴えたのが理由だが、これによりブルペンの層が一気に薄くなった。タイミングも悪く、すでにソフトバンクと巨人以外の選手はシーズンを終えており、国際大会で投げる水準まで状態を引き戻すのは難しい。さらに24日にはエース格の千賀滉大(ソフトバンク)の辞退も発表された。代替選手の選定作業も難航したようだ。
先の2球団からの選出選手は日本シリーズ中だったため、全28選手のうち合宿初日の練習に参加できたのは投手が6人、野手が10人という寂しい光景となった。
「世界一を取りにいく。そういう話は選手にもしました。このプレミアも前回は3位という悔しい結果。1敗しかしていないけれど、それが国際大会なんだという難しさを感じました。2009年(のWBC)から10年間、世界一になっていない。今回をそういう大会にしていこうという思いです」
今回のプレミア12は、他国にとっては東京五輪の出場権も懸かる重要な大会だが、すでに出場権を得ている日本がモチベーションを保つには「世界一奪回」しかない。選手とのミーティングでも、稲葉篤紀監督は「世界一」という言葉を繰り返し伝えた。その先に見据えるのは当然、東京五輪での金メダル。至上命題ともいえる戦いに向け、何が必要なのか。いくつかのポイントを洗い出したい。
セットアッパーは山本由伸。
【勝利の方程式を構築せよ】
松井と森原の辞退によって、プレミア12では山本由伸(オリックス)がセットアッパーを務めることが決まった。今シーズンは先発として最優秀防御率のタイトルを獲得した山本だが、昨シーズンはセットアッパーとして大活躍。同僚の山岡泰輔とともに、リリーフの適性ありとの判断からクローザーの山崎康晃(DeNA)へとつなぐ役割を担う。
今大会で、この「改定版方程式」がある程度の結果を残せれば、東京五輪では松井の参加も予想できる。雨降って地固まるのごとく、よりブルペンに厚みをもたせることができるはずだ。