草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
出場辞退に揺れる稲葉ジャパン。
「世界一奪回」へのポイントは?
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byGetty Images
posted2019/10/24 20:00
日本代表の1次合宿に臨んだ稲葉篤紀監督。「投球間隔は20秒まで」など、プレミア12で新たに採用されるルールへの適応力も注目される。
複数ポジションをこなせるのは?
【2ポジション】
今回の野手には一塁を本職とする選手はいない。メンバー発表直後から稲葉監督にはその質問が飛んでいたが、基本構想では浅村を起用する。故障や代走を出したときのことを想定し、首脳陣が次善の策として一塁手の用意を打診したのが山田哲人(ヤクルト)だった。
「そういう話は伝えられていたので、準備はしてきました」と新調した一塁ミットを持参。合宿初日から居残り特守を志願し「セカンドより(打者との)距離が近いし、細かい動きが違う。体にしみこんでいない動きですが、大きな違和感はなくできたと思います」と感想を語っていた。
また球界屈指の遊撃手である源田壮亮(西武)も三塁守備を練習。こうしたチャレンジは今大会に限らず、東京五輪での代表生き残りへの必須条件ともなる。
稲葉監督が明言を避けてきた4番。
【4番打者の人選】
「勝負強い、打線の核。プレッシャーもかかってくる。4番の経験が(チームで)あったり、チャンスに強いということが条件でしょうか。このメンバーの中でどういう打順を組めるのか。(宮崎、沖縄での)4試合で決めていきたい」
注目の「侍の4番」について、稲葉監督は合宿初日での明言は避けた。候補者としてあげられるのはチームでも務める鈴木誠也(広島)と、勝負強さには定評のある浅村。どちらに託すのか。また中軸を打つ坂本勇人(巨人)、山田と右打者が多く、左の秋山翔吾(西武)、吉田正尚(オリックス)、近藤健介(日本ハム)らとの編成に注目が集まる。
「競技は違えど、日の丸をつけて戦う姿に刺激を受けた。特に国歌を歌う姿には心を打たれました。そういうところは選手にも伝えていきたい。野球は野球で切磋琢磨してやっていきたい」
ONE TEAMを旗印に、史上初のW杯8強進出を成し遂げたブレイブブロッサムズ。彼らにならい、国を代表する誇りを胸に刻みたいと、稲葉監督は訴えた。世界一奪回から金メダルへ。出場辞退の波にもまれつつも、大海原へとこぎ始めた。