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ゼルビアとサイバーエージェントの
関係で理解したい「FC町田」の歴史。
text by
郡司聡Satoshi Gunji
photograph byFcMachidaZelvia
posted2019/10/17 18:00
サイバーエージェントとの関係性が注目される町田ゼルビア。クラブが過渡期を迎えている中で、今後どのような歩みを見せるのか。
J1ライセンスを持たず昨季4位。
同グラウンドのピッチ改良に必要だった約1.8億円の資金は、CAによる第三者割当増資・11億円の一部が資金源となっている。
それに加えて、クラブは約8億円の予算で町田市内に天然芝のグラウンドを兼備したクラブハウスの環境を整える準備を進めてきた。6月、クラブは'20年秋頃にクラブハウスが完成するという“ロードマップ”をJリーグクラブライセンス事務局に提出。
その結果、昨年12月にクラブライセンスの規制が緩和された恩恵にもあずかり、'22年6月までにクラブハウスを完成させることを条件として、この9月、クラブ史上初めて、J1ライセンスを交付されたのだ。
昨季の町田は4位という好成績を収めながらも、J1ライセンスの壁に阻まれる形でJ1参入プレーオフ出場が叶わなかった。しかしこの1年の間に、クラブを取り巻く状況は劇的に変化している。それはすべて、CAグループの参画から始まったことだった。
こうしてクラブの運営会社がCAグループの傘下に入ってから、本格的なシーズンを戦う中、今年9月に町田はトップチーム創設30周年を迎えた。
藤田オーナーの改称構想が……。
この節目の年、クラブには1つの大きな転換期が訪れようとしている。
10月11日、クラブ主催のサポーターミーティングに参加した藤田晋オーナー(サイバーエージェント代表取締役社長)は、リブランディングの一環として、クラブ名を「FC町田ゼルビア」から「FC町田トウキョウ」に改称する構想を明らかにした。
なお、クラブの愛称から長年親しまれてきた「ゼルビア」がなくなることに関して、藤田オーナーはサポーターの懸念を少しでも払拭しようと、次のような最大限の配慮を見せた。
「ゼルビアは社名で残します“株式会社ゼルビア”」
「ゼルビーはスタジアムのマスコットとして残します」
「チームカラーは変えません」
「本拠地町田からは出ていきません」
さらに藤田オーナーは、チーム名のコールとして、「町田ゼルビア」がサポーターの間で使われていることを尊重し、来季以降もゼルビア・コールを容認することも宣言した。そして周知のように、クラブ名の改称はサポーターによる涙の訴えが実る形で一旦保留とされた。
その後結論には至っていないが、今一度、クラブが歩んできた“歴史”と“独自性”を振り返ることで、見えてくるものがあるのではないだろうか。