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ドラフト制度をどう思いますか?
Jリーグのスカウトに聞いてみた。
posted2019/10/17 11:45
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Yuki Suenaga
秋も深まる10月――。
全チームの監督がビシッとスーツを着込み、東京都内のホテルに一堂に会する。ピンと張り詰めた空気のなか、フロント陣と指揮官は一様に神妙な面持ちで円卓を囲んでいる。
静まり返った会場に関野浩之アナウンサーのよく通る声が響くと、一気に緊張感が走る。
「第1巡選択希望選手、浦和レッズ、旗手怜央、フォワード、順天堂大学」
客席がざわつくなか、少し間をおいて次の名前が読み上げられる。
「第1巡選択希望選手、川崎フロンターレ、旗手怜央、フォワード、順天堂大学」
言わずもがな、フィクションである。もしも、プロサッカー界にプロ野球のようなドラフト会議が導入されていれば、こんな光景が見られたのかもしれない。
自由競争のJは“両獲り”も可能。
Jリーグの新人獲得事情は、NPB(日本野球機構)とは大きく異る。
原則的には自由競争。クジで優先交渉権を得なくても、クラブはどの高校生、大学生とも交渉が許されている。例えば、今年の目玉である佐々木朗希(大船渡高)、奥川恭伸(星稜高)と交渉し、2人とも獲得することもできる。実際、川崎Fは、東京五輪世代となるU-22日本代表コンビの“両取り”に成功した。順天堂大の旗手怜央(4年)と筑波大の三笘薫(4年)は、“1位指名”が確実な人気銘柄と言っていい。
2人の逸材を獲得した川崎Fの向島建スカウトは、満足そうに笑う。
「もしもドラフトがあれば、2人を同時に取ることなんて、できなかったですね」