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伊藤拓摩、バスケ指導者が米国修行中!
「でも日本人ってシュートを狙わない」 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byYoko Miyaji

posted2019/10/23 08:00

伊藤拓摩、バスケ指導者が米国修行中!「でも日本人ってシュートを狙わない」<Number Web> photograph by Yoko Miyaji

コーチと言っても、単に選手の練習の管理だけでなく、仕事は多岐にわたる。そのすべてが伊藤拓摩の糧になっている。

八村塁や渡邊雄太が引退した後に……。

 そのうえで、これからの課題は、常にアジアでトップになれる代表であり続けることだと言う。

「ニック・ファジーカスが引退して、八村塁や渡邊雄太が引退した後にも、ああいった人材が育つような国でなければいけないと思う。偶然にファジーカスが日本人になったり、偶然に八村塁っていう選手がアメリカに行って育ってきたというのではなく、必然的にそういった人材を作れる環境。選手だけでなくてコーチも。そうなってほしいんですよね」

 ビザの関係で、伊藤のレジェンズでの研修は2020年春でいったん終わる。その後の道については、ヘッドコーチにこだわらず、広く選択肢を残しておきたいという。

「アメリカに来る前までは、ヘッドコーチとしてまた日本に戻りたいというのがあって、そのための知識をと思ったんですけれど、実際にアメリカへ来てからは、ヘッドコーチにこだわる必要はないと思うようになった。もしかしたらGMなのかもしれないし、どういう形でバスケットに関わったらより日本のバスケットに貢献ができ、自分の持っている知識や人脈を生かせるのかなっていうのを模索中です。もしかしたら、アメリカに残る形を取るかもわからないし。

 もちろん、自分の情熱とか、純粋に夢中になれることと考えたらコーチの仕事なんですね、やっぱり。でも、『日本のバスケットボール界に自分が一番貢献できるのが何なのか?』と考えたときに、それがコーチなのか、それともそれ以外の方法があるのではないかと模索しています。今までコーチ一筋の考え方でしたけれど、もしかしたらヘッドコーチよりも貢献できる方法がほかにあるんじゃないか、という疑問を抱けるようになりました」

「自分が高校のときに思っていた志に戻った」

 そもそも、高校の時にコーチを目指そうと思ったのは、自分が得意なバスケットボールの知識を生かして社会に貢献したいと考えたからだった。それが、自分なりの“sense of purpose”(使命感)だと考えていた。

「自分が高校のときに思っていた志に戻った」と伊藤は言う。

 そのためにも、アメリカにいる間の一番の目的としているのは、幅広い人脈を築くことだという。

「できるだけ多くの人と繋がりたい。Bリーグ1年目のコーチをしていたときに、いろんな人からお食事のお誘いをいただいても、シーズン中だからって断っていたんですけれど、今思うと、すごくもったいないことをしたなと思う。人から学ぶことがすごく多いし、人と繋がれば繋がるほど、自分が貢献できることも増えるというのを、こっちに来て改めて思います。

 たとえば中学生がアメリカの高校に来たいとか、高校生がプレップに行きたいとか、たとえばBリーグの選手がアメリカでワークアウトしたいとかっていうときに、結局、僕がいろんな人を知っていたら紹介してあげられるし、逆に、アメリカのいいコーチが日本でクリニックをしたいということなら、そこも貢献できる。自分の知識という部分でも、いろんな人の考えが聞けるっていうのは大きいと思う。そういった意味では、とりあえずいろんな人と知り合って、いい関係性を築けるっていう、そこが一番かなと思っています」

 そうやって、多くの人と繋がり、人の話を聞き、自分がどうやって貢献できるかを改めて見つめなおす。そんな時間を、伊藤は「自分探しの旅」と表現した。

「僕は、まだ自分探しの旅をしているんで。ほとんどの37歳っていうのは、自分はこういうキャリアを歩んできて、ここでやるというのがはっきりしていると思うんですけれど、まだ悩んで、自分探しさせてもらっている。そういう環境、機会を与えてもらったっていうことには本当に感謝しています」

(『宮地陽子のGO FOR2020 ~海外日本代表候補選手奮闘記~』 伊藤拓摩「自分なりの“sense of purpose”。[c]AKATSUKI FIVE plus+)

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