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サンロッカーズ渋谷が開幕5連勝。
全員が走り続ける新スタイル。
posted2019/10/25 11:40
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
B.LEAGUE
開幕戦で、昨季準優勝の千葉ジェッツに2連勝。昨季、27勝33敗に沈んだサンロッカーズ渋谷は、クラブ史上最多記録の開幕5連勝という素晴らしいスタートを切った。
その戦い方は、過去3シーズンとはまったく違うものだ。
特に顕著なのが、短い時間で交替を繰り返しながら、11人のロスターほぼ全員が試合に出場すること。ガベージタイム(勝敗が決した残りの時間)の起用はない。あくまでも主力として、全員が試合に出る。
この原稿を依頼された際、担当編集者に「今季の渋谷は誰がいいんですか?」と尋ねられ、「誰が、という選手はいないような気がする」と答えた。ロスター全員が戦力としてプレーし、そこから毎試合異なるヒーローが現れる。それが今季の渋谷の強みだと感じている。
非常に的が絞りづらいチーム。
昨季途中からヘッドコーチに就任した伊佐勉は、今オフ、自身のチーム構想を実現するため、編成に大ナタをふるった。
その結果、生え抜きを含む5選手を放出し、レバンガ北海道から関野剛平と野口大介、千葉から石井講祐、三遠ネオフェニックスから田渡修人、新潟アルビレックスBBから渡辺竜之佑を獲得した。
5人の新規選手たちはみな、初年度と思えないほどチームにフィットしている。特に、北海道から戦力外通告を受け、大学の先輩であるベンドラメ礼生のツテで移籍した関野は、スタートメンバーとして見違えるような活躍を見せている。
持ち味はディフェンス力と運動量。「僕が生きる道とするアグレッシブなスタイルを、渋谷ではみんなが遂行している。すごく充実感があります」と、思いを噛みしめた。
189cmの身長と体の強さを持つ渡辺は、卒業後はフォワードでプレーすることが多かったが、大学時代からのナチュラルポジションはポイントガード。渋谷では「リバウンドが強いポイントガード」というユニークなスタイルを確立しつつある。
同じく、大学時代にポイントガードを務めていた田渡もその役割を担う時間が増え、シュート力とパスセンス、クレバーさでチームを助ける存在になっている。