“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER

J2新潟を沸かせる期待のルーキー。
本間至恩に初めて届いた「歓声」。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE

posted2019/09/30 19:00

J2新潟を沸かせる期待のルーキー。本間至恩に初めて届いた「歓声」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

水戸戦で勝利に貢献した新潟MF本間至恩。下部組織出身選手として、サポーターからの期待も大きい。

鋭いドリブルで危険なエリアに侵入。

 そして、PK獲得のシーンだ。

 中央右で相手の縦パスを新潟MF戸嶋祥郎がインターセプトすることを確認すると、ボールウォッチャーになる水戸DFの隙を突き、本間はバックステップを踏みながら左ワイドに開いた。

 そこに戸嶋から大きなサイドチェンジが届くと、正確なトラップで内側にボールを置いいた。本間は寄せてくる水戸の右サイドバック岸田翔平に対し、一度引き付けてから自身とゴールの間のスペースに走りこんできた左サイドバック堀米悠斗に縦パスを送る。同時にさらに縦に動いて、堀米からのリターンパスを受けた。

 タッチライン近くでボールを受けた本間は、そのままコーナーに向かってキープするかと思いきや、足元に呼び込んでから縦に仕掛けて岸田を一瞬にしてぶち抜いた。さらにアウトサイドを器用に使って中央へボールを運ぶと、ボールを奪いにきたMF福満隆貴に対し、高速シザーズでさらに中央へ加速。遅れた岸田がたまらず後ろから本間のユニフォームを引っ張り、新潟にPKがもたらされた。

ボールキープをしてもいい状況で。

 1-0でリードする中での後半アディショナルタイム。本間がボールを受けたのは敵陣の深いサイド。まず、選択肢の中に「ボールキープをして時間を作る」ということがある。だが、本間は別の選択肢を自ら作り出していく。

「まずサイドにボールを受けた時、僕の位置からゴールが遠かったし、時間もあまりなかったので、時間を使おうと思っていたのですが、相手(岸田)が寄せてきたときに『仕掛けられる』と思った」

 戸嶋からのサイドチェンジを受けた時点で、コーナーフラッグに向かってボールキープすることはできた。だが、ゴール方向へトラップしたことで岸田がボールに対して正面からアプローチに行かざるを得ない状況を作り出した。

 さらに堀米からのリターンを受けた場面でもボールキープを選択してもしかるべき状況だったが、それでも岸田を再び食いつかせることで、突破の選択肢を見出した。福満が寄せてきたときもまた、クロスを相手に当ててコーナーキックを得ればいいし、もしくはもう1度縦に仕掛けてボールキープしてもいい。しかし、対峙する相手の出方を見て、瞬時に判断を変えた。

【次ページ】 意識する「ボールを置く位置」。

BACK 1 2 3 4 NEXT
アルビレックス新潟
本間至恩

Jリーグの前後の記事

ページトップ