“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J2新潟を沸かせる期待のルーキー。
本間至恩に初めて届いた「歓声」。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/09/30 19:00
水戸戦で勝利に貢献した新潟MF本間至恩。下部組織出身選手として、サポーターからの期待も大きい。
結果を出さないと「歓声」は聞こえない。
このやり取りはそこで終わったが、その言葉の真意が気になった。囲みの輪が解けた後に彼に疑問をぶつけてみた。
観客を沸かすことはできているかもしれないけど、結果につながっていない。ということは、仕掛けた時の歓声よりも、シュートを外したり、止められた後の落胆の声の方が耳に残っているのでは?
それに対し、彼はこう口を開いた。
「正直、シュートが外れた時は(落胆の声が)ちょっと聞こえます。僕はスタジアムに見にきてくれている人たちをプレーで楽しませたいという思いがあって、週末を楽しみにしてくれている人たちに自分のプレーで沸かすためには、結果を出さないといけません。それに、そうしないと歓声は聞こえないと思っています。だからこそ、今日は倒れた瞬間、『ワー!』という歓声が聞こえて、物凄く嬉しかったです」
心の底から出たガッツポーズ。
求めていた瞬間がついにやってきた。徳島戦で聞いて以来となる、8試合ぶりのプレーの後に沸き起こる歓声。あのガッツポーズは彼が心から欲していたものが手に入った喜びの現れであった。
「こういうプレーが出ると、自分の中で成長できるというか、自信を掴めるのが物凄く大きいことだと思います。サッカーはメンタルに左右されるスポーツなので、自信がなければ悪いプレーしかできないし、落ち込んでいる時も悪いプレーが出てしまう。どれだけメンタルで優位に立てるかが重要なので、このプレーが僕にとって大きなきっかけになったと思います。新たな自信を持って、次に臨みたいと思います」
彼の目が輝いた瞬間だった。ビッグスワンを彩る“オレンジの閃光”は手にした自信を力に変えて、より大きな光を放つべく、大きな一歩を踏み出した。