話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
松井大輔が目をかけるドリブラー。
横浜FC・松尾佑介は五輪を目指す。
posted2019/09/25 18:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty images
久しぶりに「速いなぁ」と腰を浮かさせてくれた。
横浜FCのサイドハーフでプレーする中山克広と松尾佑介である。
とりわけ興味を引いたのは、左サイドハーフの松尾だ。
仙台大学の4年生だが特別指定選手となり、すでに来季の横浜FC入団が内定している。
6月29日のファジアーノ岡山戦でJリーグデビューを果たすと、すぐにレギュラーの座を獲得し、11試合に出場して4アシスト4ゴール。この日のFC町田ゼルビア戦もスタメン出場を果たし、スコアレスドローながらクラブレコードタイとなる15試合無敗に貢献した。
プレーからは負けん気の強さが伝わってくる。ボールを持てばゴリゴリと仕掛け、プロ相手に『とってみろ』と強気な高速ドリブルを仕掛ける。その姿勢が小気味いい。もちろんドリブルだけではなく裏に抜け出すタイミングも良く、相手の背後に出されたボールに対するヨーイドンの競走にも負けない。
「相手に警戒されても行けてしまうスピードがある」
下平隆宏監督の評価は高い。
速い、そして足運びが細かい。
松尾は、小学生の時に埼玉県の選抜でプレーしたことがあるが、世代別の代表経験はない。
レッズユースでは中塩大貴(立正大・甲府内定)と同期だったが、トップに昇格できず、大槻毅(現浦和レッズ監督)ユース監督に紹介されて仙台大学に進学。都内の大学という選択肢もあったが、「環境を変えるために」ということであえて杜の都を選択した。
ユース時代はスピードでは荻原拓也(浦和レッズ)の方が速かったというが、松尾も「スピードに自信があった」という。大学では100mのタイムを計ったことはないが「11秒台前半」と俊足であることは間違いない。
その走り方も特徴的だ。スピード系の永井謙佑(FC東京)や前田大然(マリティモ)のような大きなストライドではなく、ピッチが速く、足首で細かく蹴って走っている。そのためボールをコントロールしやすく、ドリブルとの相性がいい。前傾で深く、絶妙なポジションにボールを置いて動かしているので、相手は容易に飛び込めないのだ。