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2019年ドラフトを1人で全予想・上。
ヤクルトは投手が急務、オリは捕手?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/10/01 18:00
星稜・奥川恭伸のような人気選手はやはり競合の可能性が高い。他の選手の1本釣りに動く球団にも一理はあるのだ。
投手陣が崩壊したヤクルトの指名は?
〔東京ヤクルト 2019年ひとりドラフト指名選手〕
1位 投手 河野竜生(JFE西日本) 174cm81kg 左左
2位 投手 吉田大喜(日本体育大) 175cm77kg 右右
3位 投手 橋本侑樹(大阪商業大) 180cm70kg 左左
4位 投手 岡林勇希(三重・菰野高) 177cm76kg 右左
5位 投手 堀田晃(西濃運輸) 180cm83kg 右右
6位 投手 萩原僚麻(NTT西日本) 174cm78kg 右右
7位 内野 大下誠一郎(白鴎大) 175cm85kg 右右
〔総評〕
上から6人、すべて「投手」。それもほとんどが大学・社会人の即戦力タイプ。非常にわかりやすいドラフトになった。
今季、これでもか! というほど粉砕されたヤクルト投手陣。
チーム防御率4.81は、抜けて12球団ワースト。6点取らなきゃ勝てない投手陣なら、もう、なりふり構わず使えそうなのがいれば、ひたすら投手で押そう……そうなってもおかしくない。就任濃厚といわれる高津新監督も投手出身。しっかりした投手陣で、計算の立つ試合運びをしたいはずだ。
それでも、1位でいきなり「河野」は驚く人が多いだろう。
今のチーム事情なら、高校生の佐々木朗希、奥川恭伸は涙をのんで見送ろう。即戦力だったら、明治大・森下暢仁だって将来「エース」の器だ。
しかしここまで投手陣が崩壊すると、即戦力をとり逃がすことはできない。指名重複せず、抽選にならず、確実に獲れて即戦力。その条件を満たすのが、河野だった。
ある程度スピードがあり、カウントをとれる変化球があり、試合が作れる投手。1位から3位まではその線で選んだ。ネームバリューはないが、実力で選んだ投手3人。活躍すれば、人気はあとからいくらでもついてくる。
堀田晃と萩原僚麻は、“後ろの3人”として使える。都市対抗の大舞台で、先発時とはひと味違う瞬発力を確認している。
岡林勇希は将来性を買って。なにせ「岡林」なら、ヤクルトだろう。
大型ではないが運動神経抜群で、150キロも出しながら、打者として巨人・坂本勇人ばりのリストワークで140m級も飛ばす大下誠一郎は、長打力と親分肌のリーダーシップを期待だ。
畠山和洋が引退し、新しい“親分肌”の誕生ってことになってくれたら……勝負根性も一級品。「畠山二世」が生まれるかもしれない。