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高野連が示した球数制限の新規定、
「1週間で500球」は問題ないのか?
 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2019/09/27 18:00

高野連が示した球数制限の新規定、「1週間で500球」は問題ないのか?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

去年の夏の甲子園決勝で試合を終え握手を交わす大阪桐蔭と金足農業のナイン。吉田輝星(中央)の球数は新規定では引っかかっていた。

投げさせすぎのブレーキとなるか。

「500球という数字を意識させることで大人が正しい判断をして、生徒を守ることにつながるだろうと思っている、故障させないようにすることが大人の責任」と語ったのは小宮山悟委員(早大野球部監督)だった。医師の正富隆委員は「(500球に満たなければ)200球でも300球でも投げていいと取られるのは心外」とし、あくまで制限を加えることが投げ過ぎ、投げさせ過ぎのブレーキとなる効果を求めたものだと強調した。

 球数制限の論議で、いつも捻れてしまうことは、何が一番大切なのかということではないだろうか。

 制限に反対する人々の基準には、まず勝ち負けがある。高校野球で言えば甲子園大会出場を目指し、日本一を目指すことがファーストミッションとなってしまって、選手に投球障害などの大きなケガをさせないということが二の次になってしまいがちだ。

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「投手1人のチームが不利になる」という発言は、まさにその勝ち負けにこだわった論理から出る発想なのだ。

事実は1つだけである。

 今夏の大船渡高校・佐々木朗希投手の岩手県大会決勝戦での登板回避のときにも、その勝ち負け(甲子園出場)という価値ばかりが強調された論理が見受けられた。本人や他の選手たちの甲子園に行きたいという気持ちを踏みにじった采配だという批判、「私なら準決勝を回避して決勝戦で投げさせた」と、したり顔で唱える元名将……。

 だが、事実は1つだけである。

 佐々木は大きなケガや障害を残さないで3年間の高校野球生活を終え、次のステップに進むことができた。

 準決勝を回避して決勝に投げていたら大船渡が甲子園に行けたかどうかは分からない。佐々木が決勝戦で投げてケガをしなかった保証もない。そんな論理を振りかざしてみても意味はない。それでは決勝戦でムリして佐々木に投げさせてケガをしたら、チームメートの心には一体、どんな悔恨が残ることになるのかという問いも出てくる。そんなことを言い合っても、全く不毛でしかないのだ。

【次ページ】 判断を監督個人に委ねるのは正しいのか。

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