甲子園の風BACK NUMBER
星稜vs.智弁和歌山は“木製バット”。
国体をプロや大学へのステップに。
posted2019/09/28 20:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Hideki Sugiyama
9月29日から10月2日まで、茨城国体の高校野球・硬式の部が開催される。
出場するのは夏の甲子園ベスト8の履正社、星稜、中京学院大中京、明石商、八戸学院光星、仙台育英、作新学院、関東一と、智弁和歌山、宇部鴻城、海星、霞ヶ浦の計12校。3年生にとっては、高校生として出場する最後の公式戦となる。
注目カードは、開幕戦の星稜対智弁和歌山だろう。今夏の甲子園3回戦で、延長14回タイブレークの死闘を繰り広げた両校の再戦である。
もちろん、甲子園と国体では試合の意味合いは異なる。高校野球が特別競技として行われる国体では、甲子園と同じ形で優勝を狙うチームもあれば、これまであまり出場機会のなかった3年生に出場機会を与えるなど、チームによって位置付けや戦い方は違う。
智弁和歌山と星稜が木のバットで対戦。
しかしそんな大会だからこそ、今回、新たな試みが実現する。
開幕戦を戦う智弁和歌山と星稜の両校が、木製バットで対戦することになった。これは異例のことだ。
もともと智弁和歌山は、対戦カードが決まる前から、国体には木製バットで臨むことを決めていた。対戦相手が決まった後、智弁和歌山の中谷仁監督が、星稜の林和成監督に、「うちは木でいこうと思うんですけど、もしよかったら星稜さんもどうですか?」と話したところ、林監督がそれに賛同したという。
智弁和歌山は、初戦だけでなく、勝ち上がれば最後まで木製バットを使用するという。
高校では金属バットを使用するが、高校卒業後は、プロでも大学でも社会人野球でも、木製バットを使用することになる。そのため野球を続ける3年生は、夏の大会が終わると、金属バットを木製バットに持ち替えて練習する。
智弁和歌山も、主将を務めた二塁手の黒川史陽と捕手の東妻純平がプロ志望届を提出し、その他の3年生も、大学で野球を続ける意志がある。