“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ロティーナ監督の下で迎える新境地。
好機を生む水沼宏太の位置取りの妙。
posted2019/09/22 20:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
4連勝と調子を上げているセレッソ大阪。そのなかで日に日に存在感が大きくなっている選手がいる。
水沼宏太だ。
横浜F・マリノスのアカデミーで育ち、トップチームに昇格後は栃木SC、サガン鳥栖、FC東京と渡り歩き、5チーム目となるC大阪にやってきたのは2017年のこと。
その彼が今季から就任したロティーナ監督のサッカーにおいて、なくてはならないプレーヤーとなっている。彼のプレーをじっくりと見ると、その答えがピッチにはっきりと出ていた。
彼がセレッソにもたらしているもの――。それは抜群のポジショニングからくる、戦術の円滑な遂行だ。
水沼は目まぐるしく戦況が変わるピッチの中において、常に味方がいてほしい場所にいる。右サイドハーフの位置から首を振り、細かいステップを入れながら、アウトサイド、インサイドと斜めに移動。攻撃時にはパスの経由地となり、さらにサイドバックやボランチ、FWを生かすスペースメイク、そして自らがそのスペースを活用して決定的なプレーも見せる。守備面では常に味方の守備ポジションを確認しながら、攻から守に切り替わった瞬間にボールの出しどころを消し、強烈なプレスバックを仕掛けて相手の自由を奪う。
水沼宏太のプレーが変わった。
水沼と言えば、豊富な運動量と突破力とキックセンスを併せ持ち、トップ下、インサイドハーフ、サイドハーフと複数のポジションをこなすことができるが、近年はサイドアタッカーでプレーすることが増えてきた。
特に2012年から'15年まで過ごしたサガン鳥栖では、ユン・ジョンファン監督の下でウィングのようにガンガン縦に仕掛けるサイドアタッカーとして活躍。「生粋のサイドプレーヤー」という印象がついたように思う。C大阪に来てからも、右サイドから仕掛ける「槍」として自身を表現していた。
しかし、今年に入ってから何かが違う。もちろんいい意味で、だ。