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失い始めたガンバ常勝の記憶。
ルヴァン杯でイズム継承なるか。
posted2019/09/18 11:30
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
J.LEAGUE
勝者のメンタリティとは、決して目に見えたり、数字で表せたりする概念ではない。Jリーグでは鹿島アントラーズが、代々「ジーコ・スピリット」の継承に成功して来たが、勝者であり続けることの難しさや誇りは、いわば一家相伝で次世代に受け継いでいくものである。
2005年の初戴冠以降、ほぼ毎年のようにタイトル争いを繰り広げて来たガンバ大阪は国内で鹿島アントラーズに次ぐ、9度の優勝回数を誇って来た。しかし、ガンバ大阪は常勝軍団だった当時の記憶を徐々に失い始めている。過去3シーズン、無冠に終わっただけでなく、今季も天皇杯では昨年に続いて大学生相手に苦杯を舐めるというJリーグ史上初めての醜態。
攻撃サッカーの再構築や常勝軍団としての復権を目指したはずの「GAMBAISM」というチームスローガンが、あまりにも虚しく響く有り様だ。
ルヴァンカップで見せた勝負強さ。
「天皇杯で負けてしまって、今シーズン現実的に唯一狙えるのがルヴァンカップ。よりこの大会への思いが強くなった」
ゲームキャプテンの三浦弦太がこう話していたルヴァンカップで、大阪の雄が忘れかけていた勝負強さの一端を見せつけた。
ルヴァンカップ準々決勝でガンバ大阪の前に立ちはだかったのは、かつての恩師・長谷川健太監督が率いるFC東京。日本代表に招集された永井謙佑と橋本拳人を欠くFC東京にホームで行われた1stレグで1−0と快勝。
しかし、2ndレグはリーグ戦で首位を走るチームに地力を見せつけられ、67分には痛恨の2点目を献上した。
スコアだけを見れば、0−2という絶体絶命の状況である。このままタイムアップの笛を聞けば、敗退決定――。しかし、百戦錬磨の強者たちに焦りは全くなかった。