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「世界を変える」空手家・清水希容。
宝塚男役と綾瀬はるか、両面の魅力。 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byItaru Chiba/AFLO

posted2019/09/16 19:00

「世界を変える」空手家・清水希容。宝塚男役と綾瀬はるか、両面の魅力。<Number Web> photograph by Itaru Chiba/AFLO

KARATE1 プレミアリーグ2019 東京大会 女子 個人 形 決勝での清水。僅差でライバルのサンドラを破り、優勝を果たした

決勝はまたも清水とサンドラ。

「ラバト大会以降はいずれの大会も1点を切る点数差だった。『そろそろタイゲーム(引き分け)になるのかな? でも(地元の)東京ではちょっと避けたいよね』という話をコーチともしていたんですが……」

 避けたいことは現実となる。9月6~8日、日本武道館で行なわれた『KARATE1プレミアリーグ東京』。その第3日の実施された女子個人形決勝で清水とサンドラは当たり前のように顔を合わせた。

 約100種類あるリストの中からふたりが選んだ形は奇しくも「チャタンヤラクーサンクー」。昨年の世界選手権以来のチャタンヤラ対決となったが、清水は演武中に痛恨のミスを犯してしまったと打ち明ける。

「(先に舞台に上がった選手から)決勝戦の舞台は跳ねることは聞いていた。案の定、ポーンと跳ねてしまって、中盤そのせいでバランスを崩してしまった」

2度の演武、場内は大きくどよめいた。

 それでも、7名の審判が出したスコアは27.68と同点だった。進行のミスで一度清水の勝利がアナウンスされると、サンドラは「WHY?」のポーズ。案の定、清水の勝利はすぐ取り消され、規定により再演武となった。決勝の演武が2度見られることがわかると、場内は大きくどよめいた。

 ルールでひとつの大会では全て違う形を披露しなければならない。清水は今年4~5月から練習し始めたばかりの「オヤドマリノパッサイ」を選択した。

「これまでに2度演武している形です。でも(大会の)最初の方で使っているので、たぶんみんな見ていないと思います」

 東京オリンピックで1回戦から決勝まで勝ち抜くためには4つの形を用意しなければならない。すでに3つは用意しているが、残りのひとつをどうするか思案中だった。その候補のひとつがこの形だった。

【次ページ】 「無心で演武したのが良かった」

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