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前田健太、プレーオフ前の恒例行事。
リリーフ転向を支える圧倒的な数字。
posted2019/09/08 09:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
ドジャースの前田健太投手が、残りのシーズンで先発から救援に回るというニュースが流れたのは、9月2日(日本時間3日)のことだった。
「我々は彼を先発としてみているし、彼も先発として投げることを望んでいる。だが彼は良いチームメイトでもある。彼は我々が求めることなら、どんなことでも引き受けてくれる」
デイブ・ロバーツ監督は地元メディアに言ったそうだが、メジャーリーグに詳しい人なら、その一報に驚くことなく、「ああ、また今年もプレーオフが近づいてきたな」と思ったのではないか。
なぜなら、ドジャースには元サイ・ヤング賞投手の大エース、カーショウと今年のサイ・ヤング賞の最有力候補、柳賢振の両左腕投手がいる上に、若手右腕のビューラーやベテラン左腕のヒル(現在は負傷者リスト入り中。9月半ばに復帰見込み)がガチガチに先発ローテーションを固めているからだ。
プレーオフを勝ち抜くには(日本風に言えば)、有力な先発投手が4人もいれば充分で、前田がローテから外れたのはある意味、既定路線だった。
先発から外れたというよりも。
ただし、それを「先発ローテから外れた」と短絡的には書けないのは、前田が先発4人に怪我などの緊急事態が起きた時の「5人目の先発投手」、もしくは「先発投手が早い回に降板した時のロング・リリーバー」になるわけではないからだ。
前田はドジャースの救援投手陣にとって欠かせぬ戦力であり、すでに過去数年、プレーオフという大舞台での救援投手としての活躍で「場合によっては試合を締める可能性がある」(ロバーツ監督)という実力を示してきた投手だからだ。
まず、彼が先発の時よりも救援の時の方がWHIP(1イニング当たりの被安打と与四球の率)やSO9(9回あたりの奪三振率)がいいのは、ドジャースや前田の動向をフォローしている人ならば周知の事実だろう。