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野手軽視の今季ドラフトに待った!
過去5年の“成功”を見てみると……。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKyodo News

posted2019/09/05 11:50

野手軽視の今季ドラフトに待った!過去5年の“成功”を見てみると……。<Number Web> photograph by Kyodo News

2014年ドラフト1位で巨人に入団した岡本和真。その年、野手の1位指名は巨人を含めて3球団しかなかった。

投手よりも野手がお得?

 もう少し、過去5年のドラフトを振り返ってみよう。

 ここ5年で1位指名された野手のうち、中村奨吾、岡本和真、野間峻祥、吉田正尚(青山学院大→'15年オリックス)、大山悠輔、村上宗隆(九州学院→'17年ヤクルト)、神里和毅(日本生命→'17年DeNA)、近本光司(大阪ガス→'18年阪神)はチームの顔とも言える主力選手に成長。

 成功未満ではあるが、清宮幸太郎(早稲田実業→'17年日本ハム)、辰己涼介(立命館大→'18年楽天)らもチームの戦力になりつつある。2位指名でも宗佑磨、廣岡大志(智弁学園→'15年ヤクルト)、京田陽太、藤岡裕大(トヨタ自動車→'17年ロッテ)がいる。

 日本ではドラフト上位で指名されるのは投手が多いが、成功率で見ると野手のほうが断然高い。

 さきほど挙げた成功選手には入っていないが、安田尚憲(履正社→'17年ロッテ1位)は現在、イースタン・リーグ1位の本塁打17、打点72(以下、データすべて9月3日現在)を記録し、将来の主軸打者の期待を背負っている。

ソフトバンクや西武も……。

 現状も将来も、「課題は攻撃力」という球団がある。

 たとえば、オリックスは吉田正尚というリーグを代表する強打者を擁しているが、吉田以外は非力な打者が多く、現時点でのチーム成績は打率.244(リーグ6位)、本塁打85(同5位タイ)、得点473(同6位)と低調だ。

 セ・リーグではチーム本塁打が2ケタの中日(79本)、阪神(83本)の長打不足が深刻。とくに阪神は主力打者が今季42歳の福留孝介、38歳の糸井嘉男で、シーズン途中に入団したソラーテが二塁16試合、遊撃3試合を守り、守備率は二塁.955、遊撃.800という体たらくを演じている。

 打てる野手が少ないので、打てそうな外国人にディフェンスの要であるセカンドとショートを守らせ、それがチーム成績4位という不甲斐ない結果に現れている。

 過去5年間で日本一4回のソフトバンクにしても主力の松田宣浩(36歳)、柳田悠岐(30歳)らもベテランの域に差し掛かり、若手で強打者と言えるのは上林誠知(24歳)くらいしか見当たらない。過去5年間に上位で野手を1人しか指名していなければ攻撃力が落ちるのは当たり前。

 西武も野手の上位指名が少なく(過去5年間で1位はゼロ、2位で2人)、海外FA権を取得した秋山翔吾(31歳)の去就が不安であり、中村剛也も36歳なので、強力打線が数年先まで維持できるのか難しい状況にある。

【次ページ】 試されるスカウトの眼力と胆力。

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