“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
野手軽視の今季ドラフトに待った!
過去5年の“成功”を見てみると……。
posted2019/09/05 11:50
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
今年のドラフトは投手の上位指名が多いと言われる。
高校生の佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)、西純矢(創志学園)、宮城大弥(興南)、大学生では森下暢仁(明治大)の評価がとくに高い。また、社会人では太田龍(JR東日本)、宮川哲(東芝)、立野和明(東海理化)、河野竜生(JFE西日本)の名前をよく見る。
過去5年で野手の上位指名が少なかった年がある。2014年の6人(1、2位に各3人)と'16年の4人(1、2位に各2人)がそうだ。
現状だけに限って言えば、上位指名された数少ない野手の多くが戦力として活躍しており、逆に投手は苦戦していた。
“少なかった野手”が活躍中。
'14年に1位指名された野手では、中村奨吾(早稲田大→ロッテ)、岡本和真(智弁学園→巨人)、野間峻祥(中部学院大→広島)と全員が主力に定着。2位指名の清水優心(九州国際大付→日本ハム)、宗佑磨(横浜隼人→オリックス)、栗原陵矢(春江工→ソフトバンク)の姿も一軍の試合でよく見かける。
反対に1位指名の投手を見ると、安楽智大(済美→楽天)、竹下真吾(ヤマハ→ヤクルト、引退)、野村亮介(三菱日立パワーシステムズ→中日、現在は球団スタッフ)、横山雄哉(新日鐵住金鹿島→阪神、現在は育成契約)と伸び悩んだ選手が少なくない。
同様に'16年では野手1位の大山悠輔(白鴎大→阪神)、吉川尚輝(中京学院大→巨人)、2位では京田陽太(日本大→中日)、石井一成(早稲田大→日本ハム)がいて、ケガで戦列を離れている吉川以外は戦力になっているが、投手1位の寺島成輝(履正社→ヤクルト)、田中正義(創価大→ソフトバンク)、加藤(現・矢崎)拓也(慶応大→広島)と苦労している選手もいる。
もちろん活躍する投手も多いが、こういう例を見ていると、「候補が少ない」と野手を軽視するのはいかがなものか、とつい口を挟みたくなるのだ。