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英国の小さなサッカークラブ消滅も、
ファンの地元愛と魂は死なない。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2019/09/03 18:00

英国の小さなサッカークラブ消滅も、ファンの地元愛と魂は死なない。<Number Web> photograph by Getty Images

地方クラブを応援する背景には郷土愛などがある。イングランドでも、そんな中小クラブが消滅するケースは皆無とは言えない。

バリーを無駄死にさせないために。

 かれこれ20年以上前、英国での永住を決意した大きな理由の1つがチェルシーだった自分自身も、それこそ魂を抜かれたような状態になった気がした。

 バリーの二の舞は、少なくとも下部リーグ勢にとっては起こり得る事態である。タイミングを前後して新オーナーによる買収実現で救われたものの、今季リーグ1所属のボルトンも追放処分寸前だった。

 リーグ2では元イングランド代表DFソル・キャンベルが、昨季終盤から給与支払いが滞っていたマクルズフィールドでの監督契約を、わずか8カ月半で解約したばかりだ。バリーを処分したフットボールリーグは連鎖反応を危惧する声がある中で、所属クラブの負債額は減少方向にあるとのスタンスを取っている。しかし現場には、今回の一件を「氷山の一角」とみなす向きもある。

 バリーを「無駄死に」させないためには、クラブ買収時に新オーナーとしての適性審査を、外注する手段へと一考する価値はあるだろう。審査プロセスを担当する部隊が就任後のモニターも実施すればさらに良い。本当に適した人物が所有者となれば、前述したように、この国のクラブはそう簡単に存続不可能な状況に追いやられはしない。

セミプロから蘇ったクラブも。

 57年前にリーグ追放になったアクリントン・スタンリーのように、安定をもたらしたと評判の現オーナーの下で、ノンリーグ(セミプロ)からの再出発し、再び3部まで戻ってきた復活例も存在する。いわゆる“フェニックス・クラブ”の一例だ。

 何より、バリーのファンも悲しみに打ちひしがれているだけではない。サポーター間では早くも、ギグ・レーンをホームとするクラブを再結成して、来季ノンリーグにエントリーしてプロリーグへの復活を目指す動きが検討されているという。

 悲劇の先に復活劇が待っていることを願っているのは、地元サポーターや、経験者として励ましのツイートを送ったアクリントンのような、同じ北西部のクラブだけではない。

 地方のいちクラブが不死鳥の如く蘇る未来が全国レベルで望まれている。サッカーが庶民の「ハート&ソウル」だと言える、ここイングランドでは。

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