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大迫傑をよく知る後輩が語る、
なぜ、彼は強くなったのか。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byShota Matsumoto
posted2019/08/30 18:00
大迫傑は個人主義者である。それでも彼の大学時代の姿は、チームメイトたちに好意とともに記憶されていた。
「大学時代の食生活はひどかったですね(笑)」
一方で大学生らしい一面もあった。
「大学時代の食生活はひどかったですね(笑)。カロリーだけで食事を決めているところがあって、走らなかった日はカロリーはほとんど取らないし、昼ご飯はカロリーが結構あるからと、栄養素は無視してジャンボモナカだけ食べたり。あとは飲み物でカロリーを取らないように、ゼロカロリードリンクかコーヒーだけとか」(岡田)
そんな食生活も今では改善され、競技中心で考え、合宿中は自分で料理もしている。
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「お酒も好きなんですが、アメリカでは全く飲まないようです。基本的に試合が終わって、日本にいるオフの時にしか飲んでいません。そこのメリハリはすごく大切にしているみたいです。去年の夏だったと思うんですけど、突然皇居ランしたいって連絡があって。『僕はいいですけど、大迫さん大丈夫ですか? 皇居周辺はランナーしかいないんですよ?』って言ったんですけど、『大丈夫』っていうんです。
当時僕は月島に住んでいたんですけど、『(国立スポーツ科学センターのある)赤羽から、月島までジョギングで行くから、そこで合流しよう』って。そのまま皇居1周して、また月島経由で赤羽まで帰っていって、結局40kmぐらい走っていましたね。それも後で聞いたら、前日飲みすぎたお酒を抜くためという理由でしたけど(笑)」(高橋)
今回たくさんの人に会って聞いた話は、大迫が自分を振り返るきっかけとなった。『走って、悩んで、見つけたこと。』では子供の頃の話、高校進学の時の衝撃的なエピソード、棄権に終わった東京マラソン後の話などが赤裸々に語られており、一読した高橋さんが「これぞ大迫さんという内容でした」と言うように、大迫傑を知るに最適の1冊となっている。
Number Books
市民ランナーのカリスマ、大迫傑、初の著書--。
これは、MGCの前に、オリンピックの前に必読の書である。
大迫傑は、悩みはすべて走ることで解決してきたと言う。
走っている間は、自分自身とじっくりと向き合え、答えを見つけられるのだと。
<本体1,400円+税/大迫傑・著>
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