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永井秀樹新監督のヴェルディ再建策。
右腕は“Jバブル”を知る藤吉信次。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/11 09:00
かつてのヴェルディ黄金期を知る永井秀樹監督(中央)と藤吉信次コーチ(左)。彼らにチーム立て直しを託す。
華やかなりしJリーグバブル世代。
ふたりは、華やかなりしJリーグバブルを知る世代だ。甘いマスクの永井は二の線で売り、藤吉はゴリゴリの三の線をいくひょうきん者。路線はまるで違ったが、不思議と馬が合った。Jリーガーがアイドル雑誌で盛んに特集されていた時代である。
「あの頃は時代がおかしかった。『光GENJIが解散したので、これからはヴェルディのサポーターになります!』と言ってきた女のコもいてね。永井はクールでしたけど、嫌味な感じはなかったな。ああ見えてギャグセンスがあり、面白いヤツだったんで」
今回、ホワイト体制からの転換に際し、2年半、トップチームのコーチを務めてきた藤吉も後任候補のひとりだった。だが、立場は変わらず補佐の役目となる。
「もちろん準備はしていましたが、決定した時点で気持ちは切り替えています。永井は自分とサッカー観が近く、信頼できる人間。その目指すサッカーを実現できるように、いいチームをつくっていきたい。選手たちも新しいことにトライする楽しさに燃えている」
ポゼッション率80%を目指せ。
燃えているのは選手だけではない。菅原智コーチもそのひとりだ。これまでの仕事はアシスタントの範囲に限定されていたが、トレーニングで生き生きと指導する姿が見られるようになった。
「最初、永井さんはコーチ陣を集めて、こう言ったんです。ひとりでは、選手に向けられる目はふたつしかない。それがふたりなら4つ、3人なら6つの目になる。みんなで目を配り、手厚くアプローチしていくのが大事だと。そこで自分は守備面を中心に、責任や役割が明確になりましたね」(菅原コーチ)
永井監督は、こだわりの人である。ボールの動かし方やパススピードにこだわり、特にポジショニングにはセンチ単位でこだわる。選手の評価基準はサイズや身体能力よりも、技術と状況判断の正確性がプライオリティの上位。目安となるボールポゼッション率は80%で、相手を圧倒して勝つサッカーを目標に掲げる。