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不動の「3番・DH」になった大谷翔平。
本塁打への秘めたる意識が変わった。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byNanae Suzuki
posted2019/08/11 11:50
後半戦は23試合で1本塁打(8月6日時点)の大谷。ペースは落ちてきているが、昨シーズンの22本を超えられるか。
大谷の次打者は日替わり状態。
大谷の復帰後、「2番・トラウト」、「3番・大谷」が不動であるのとは対照的に「4番打者」はアルバート・プホルス、ジャスティン・アップトン、アンドレルトン・シモンズ、コール・カルフーンなど、まちまちだ。
今季、トラウトがキャリアハイのOPS 1.112、38本塁打を叩き出す理由のひとつに後ろを打つ大谷の存在感があるのは言うまでもない。大谷がいるから、相手投手はトラウトにストライクゾーンでの勝負を強いられる。
その反面、大谷の後ろは日替わり状態。OPSは最高でカルフーンの.797しかない。無理して大谷との勝負をしなくてもいい場面も多々ある。その中で大谷は試合状況、相手投手と自分を含めた次打者との相関関係、相手ブルペンの動きも含め、1球1球状況が変化する中でチームを牽引する対応が求められる。
主砲を託されたからこその駆け引き。
打者として、これほどに難しくかつやり甲斐のある勝負もない。主砲を託されたからこそ味わえるハイレベルな切磋琢磨と言える。
「配球も変わってきていますし、そこに対してしっかりアジャストできるように、取り組みがどんどん上がってくるんじゃないかと思うので、いいことじゃないかなと思っています」
ポジティブに前を向き、高いハードルに向き合い、課題に取り組む大谷翔平。打者としての取り組みがこれほどに楽しいと感じたことは日本時代にはなかったことであろう。
甘くないのがいいところ。それがメジャーリーグ。打者・大谷は今、そんな楽しみと向き合いながら、日々バットを振っている。