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宝刀スプリットは甦るか。
田中将大の苦悩と試行錯誤。

posted2019/08/10 11:50

 
宝刀スプリットは甦るか。田中将大の苦悩と試行錯誤。<Number Web> photograph by Getty images

8月7日現在、田中の被本塁打は22本。すでに昨年の25本に迫るペースだ。

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 最初のひと言を絞り出すまで、約30秒の沈黙が流れた。

 いつも淀みなく話すヤンキース田中将大にしては、極めて珍しい光景だった。

 8月6日の敵地オリオールズ戦。この日の田中は5回まで1失点と踏ん張りながら、6回に4失点で降板。救援投手が同点弾を浴び、白星を逃した。

 その結果、5月下旬には2点台だった防御率が4.93まで跳ね上がった。メジャーデビューした2014年に2.77をマークした田中にすれば、考えられないような数字だった。

 試合後のロッカー室では、テレビカメラが回る中、しばし頭の中を整理したうえで、田中はゆっくりと顔を上げた。

エースらしさを発揮したが……。

「自分の投げているボールに関しては、特別悪いとは思ってないです。いろいろと自分の中でトライしている中で、修正を重ねていっている中で、試されている部分もあるだろうし、かなりフラストレーションはたまりますけど、自分で乗り越えていくしかない。前を向いてやっていくしかないかなと思います」

 2年ぶり4回目となる開幕投手を任された今季、田中は順調なスタートを切った。勝ち星こそ伸び悩んだものの、本調子ではない試合でも踏ん張るなど、安定した成績で先発としての役割を果たしてきた。6月17日のレイズ戦では2安打10奪三振で完封。地区首位を走るヤンキースのエースらしさを発揮した。

 その一方で、いつしか少しずつ歯車が狂い始めていた。

 確かに、今季は宝刀スプリットが本来の状態ではなく、試合の勝負所で長打を浴びるケースも少なくなかった。それでも、田中は常に微調整を続け、チームに勝利のチャンスをもたらし続けてきたはずだった。

 6月29日のロンドンシリーズ・レッドソックス戦で、1回を持たず、6失点でKOされた際は、同地での2試合では異なるボールを使用していたとの情報もあり、結果は不本意でも納得せざるを得ない部分もあった。ところが、7月25日、敵地ボストンでの一戦では、4回途中、12失点で降板。野球人生ワーストとなる屈辱を味わった。地元ニューヨークのメディアに酷評されるのも当然の結果だった。

【次ページ】 小手先でごまかすわけにもいかない。

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