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約半年のブランクからカムバック。
萩野公介が挑む新しい“体の使い方”。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byMATSUO.K/AFLO SPORT
posted2019/08/10 11:40
ワールドカップではすがすがしい笑顔を見せた萩野。次戦の茨城国体(9月14~16日)で国際標準タイムの突破を目指す。
休んだからこそできる泳ぎがある。
200m個人メドレーの予選後には「スタートから浮き上がりの部分とか、最初のバタフライが少しストローク数も多かったですし、タイムも速くなかった。フリーでは死にそうでした。でも、レースを重ねていけば問題ない部分だと思う」と、解決への道が分かっている課題を自らひとつひとつ確認するように羅列した。
一方で、休養に入った2月からここまでの間を振り返り、「数カ月休んでいたし、泳いでいなかった時期もあった。だからこそできる泳ぎや、レースへの姿勢がある」と語った。
変化に挑んでいるのは体の使い方だ。
「正直、2月のコナミオープンまでと、今では土台の種類が違っていると思う。あの頃は、無理に頑張って上げていたベースで試合に出ていた。でも、それでは結局は止まってしまうところが来る。2月以降に自分の体を見つめ直したり、リハビリをする時間を取ったので、体の使い方も違ってきています」
感覚の面ではつかんでいるものがある。
'15年に骨折した右ひじや状態の良くなかった肩を、休養期間を使ってしっかりとメンテナンスし、調整してきた。
「僕の場合はそんなに筋力もないので、力んだ泳ぎをしていくと、良いタイムが出ない。良いフォームで、良いところをきっちりと使うことで、好タイムが見えてくると思う。だからこそ、ちゃんとした体の使い方で泳ぎたい。今はそれを始めることを意識しています」
ワールドカップではタイムこそ出なかったが、感覚の面ではつかんでいるものがある。
「前よりは違和感のない泳ぎができていると思う。前までは、どうして肩ばかりに力が入ってしまうんだろうとか、どうやって泳いだらいいのかわからないという感じだったけど、今は、上半身に力が入りやすいということは、ここが悪いからだなど、考えながら修正できるようになった」