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甲子園で勝つには打線の力が大事。
地方大会のOPSで優勝候補を占うと?

posted2019/08/07 12:00

 
甲子園で勝つには打線の力が大事。地方大会のOPSで優勝候補を占うと?<Number Web> photograph by Kyodo News

全出場校1位の地方大会OPSを引っさげて甲子園へやってきた八戸学院光星。初戦も9点を奪って誉を下した。

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大利実

大利実Minoru Ohtoshi

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 8月6日に開幕した第101回全国高等学校野球選手権大会。

 毎年楽しみにしているのが、代表49校の戦力データが掲載されている週刊朝日増刊号『甲子園』だ。これを見ながら、「この学校はよく打つな」とか「盗塁がやたらに多いな」など、チームのイメージを膨らませる。

 もちろん、地方大会はあくまで地方大会であり、その数字が甲子園に直結するわけではない。地方大会のレベルも、都道府県によってまちまちであり、試合数も違う。あくまでも、「参考データ」となる。

 だからこそ、データをどう読み取るかが大事になってくる。

「地方大会のOPS(出塁率+長打率)が高い学校は、甲子園でも上位に進出する割合が高いですよ。特に、春のセンバツであれば練習試合のデータまで掲載されるので、もっと詳しくわかります」

 こう教えてくれたのは、健大高崎のアドバイザー(今年3月で退任)として機動破壊の礎を築いた葛原美峰氏だ。

 一般的に、OPSはひとりのバッターを評価するもので、1.000以上であれば超一流と考えることができる。葛原氏の考えでは、個人だけでなく、チーム全体の攻撃力の評価として使える、ということになる。

 葛原氏はOPSに代表されるセイバーメトリクスをチーム作りに活かしていて、投手起用の判断材料にはWHIP(1イニングに何人のランナーを出したか)やK/BB(奪三振数を与四球で割ったもの)、IR%(前のピッチャーが残したランナーをどのぐらいの割合で抑えたか)などを使っている。

犠飛の掲載がない、という問題。

 早速、2010年から2018年までの各出場校の地方大会におけるOPSと、甲子園優勝・準優勝校の関係性を調べてみた。

 が、ここでひとつ問題点が。【出塁率=安打+四死球/打数+四死球+犠飛】で調べることができるのだが、週刊朝日増刊号には犠飛の掲載がない……。犠飛はおそらく多くても1校で5個前後、OPSで見れば0.08前後の差が出てくる。「本来のOPSよりも、若干数字が高い」という認識で読んでいただけるとありがたく思う。

【次ページ】 優勝校は、やはり数字が高い。

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