甲子園の風BACK NUMBER
甲子園で勝つには打線の力が大事。
地方大会のOPSで優勝候補を占うと?
text by
大利実Minoru Ohtoshi
photograph byKyodo News
posted2019/08/07 12:00
全出場校1位の地方大会OPSを引っさげて甲子園へやってきた八戸学院光星。初戦も9点を奪って誉を下した。
優勝校は、やはり数字が高い。
2010年から9大会の数字をまとめたのが、下記の表だ。優勝・準優勝校の右横にある数字は、出場校をOPSで並べた際の順位である。
これを見ると、9大会中6大会で一桁順位の学校が優勝していることがわかる。優勝校でもっとも順位が低かったのは2017年の花咲徳栄の16位だ。
■2010年~18年夏 優勝・準優勝校 地方大会OPS(犠飛を含まない)
2010年
<優 勝> 興南 0.972(14位)
<準優勝> 東海大相模 0.990(10位)
<全体平均> 0.896
2011年
<優 勝> 日大三 1.114(6位)
<準優勝> 光星学院 1.187(1位)
<全体平均> 0.900
2012年
<優 勝> 大阪桐蔭 1.002(9位)
<準優勝> 光星学院 0.921(18位)
<全体平均> 0.884
2013年
<優 勝> 前橋育英 0.969(11位)
<準優勝> 延岡学園 1.007(6位)
<全体平均> 0.885
2014年
<優 勝> 大阪桐蔭 1.058(9位)
<準優勝> 三重 1.073(8位)
<全体平均> 0.934
2015年
<優 勝> 東海大相模 0.995(8位)
<準優勝> 仙台育英 1.141(1位)
<全体平均> 0.905
2016年
<優 勝> 作新学院 1.133(5位)
<準優勝> 北海 0.986(14位)
<全体平均> 0.920
2017年
<優 勝> 花咲徳栄 1.011(16位)
<準優勝> 広陵 1.017(14位)
<全体平均> 0.955
2018年
<優 勝> 大阪桐蔭 1.250(2位)
<準優勝> 金足農 0.849(49位)
<全体平均> 1.001
2019年
<優 勝> ????
<準優勝> ????
<全体平均> 0.948
昨夏、根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)らを擁して春夏連覇を達成した大阪桐蔭は2位。激戦区の大阪でOPS1.250という驚異的な数字を残した。犠飛の分を割り引いたとしても、1.150以上はあったであろう。
2013年、2年生エースの高橋光成(西武)の活躍で初出場初優勝を果たした前橋育英は、守備のチームのイメージが強いが、地方大会のOPSは11位。上位の成績を収めていたことがわかる。
準優勝校に目を移しても、2013年に旋風を巻き起こした延岡学園は6位、2014年に大阪桐蔭を追い詰めた三重は8位。「東北勢初優勝」に手の届くところまできた2015年の仙台育英は1位の数字を残していた。
OPSが優勝校・準優勝校を予想する絶対的な数字と言い切ることはできないが、ひとつの参考データとしては活用できるのではないか。
吉田輝星の金足農はかなりの投手依存。
ただし……、こうしたデータには“例外”がつきものでもある。
2018年、吉田輝星(日本ハム)の活躍で準優勝を遂げた金足農はまさにその一例で、OPSの順位は49位(記念大会のため56校が出場)。吉田の存在がいかに大きかったかがわかる。
地方大会の成績がそのまま甲子園につながるとはかぎらないのが、高校野球の難しいところであり、面白いところとも言えるだろう。毎年、甲子園で勝つごとに成長するチームがある。