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フライボール革命と三振の激増。
大谷翔平のホームランもその一例だ。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki

posted2019/08/07 11:40

フライボール革命と三振の激増。大谷翔平のホームランもその一例だ。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

メジャーの舞台でビッグフライを量産する大谷翔平。その一方で三振も多いが、フライボール革命が進むMLBの象徴なのかもしれない。

フライボール革命の象徴デービス。

 もちろん当時から、1試合の平均三振数が「1」を上回る打者はいるにはいた。7位のアダム・ダン、10位のラッセル・ブラニャンらがそのタイプに当たる。彼らは文字通り「三振かホームランか」の打者だったが、評価はそれほど高くなかった。

 また上位10人の1試合平均三振数は0.819で、10傑で平均三振数が1を上回るのは2人だけ。それが2018年には0.967に上昇している。そして1試合平均三振数1.159のクリス・デービスは、ア・リーグのホームラン王である。

 デービスは、イチローにとって現役最後となった東京でのラストゲームにアスレチックスの4番打者として来ていた。180cm/92kgと体は大きくないが、すさまじいスイングで大きな当たりを連発していた。まさにフライボール革命でのし上がってきた打者なのだ。

大谷や山川、ソトの比率とイチローの言葉。

 2019年は10傑のうち6人の平均三振が「1」を上回り、1試合当たりの本塁打数も大幅に上昇している。ジョーイ・ギャロのように1試合2個弱の三振を喫しながら、本塁打を狙う打者さえ出てきた。

 ちなみに大谷翔平は2018年は1試合当たりの本塁打数は0.212で30位だったが、三振数は0.981。彼も三振をコストと割り切って、ホームランを狙うフライボール革命の一員と言えよう。

 これを日本プロ野球で見てみるとどうなるか。2018年ではパの本塁打王、西武の山川穂高は1試合当たり本塁打は0.329、三振は0.965、セのDeNAソトは本塁打は0.383、三振は0.935だった。

 フライボール革命、つまり「本塁打の民主化」は、だれもが本塁打を狙うようになって、一発逆転のゲームが増えて面白くなったという見方もできる。

 しかし、それにともなって三振は増え続ける。まるでギャンブルのようにホームランを狙う打者が増えて試合はさらに大味になったともいえよう。

 そういえば今春、イチローは今のMLBについて「頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつある」と言った。この解釈には諸説あるが、この数字を見ていると、フライボール革命について言っているのではないか、と思うが、いかがか。

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