Jをめぐる冒険BACK NUMBER
遠藤航が語る欧州2年目と森保J。
「残された時間は多くないけど」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2019/08/09 11:50
ベルギーでインタビューに応じてくれた遠藤航。言葉の節々に日本代表、海外組としての自覚を感じさせる。
アジアのレベルは上がっているけど。
――アジアカップを経験して、アジアのライバルたちのレベルの変化をどう感じていますか?
「アジアのレベルはすごく上がっていると感じた一方で、日本のレベルも高まっていると感じていて。決勝ではカタールに負けましたけど、チームとして統一感を持って、やりたいことをピッチに落とし込めれば、アジアのどの国に対しても日本の力を発揮できるな、と。
カタールはひとりひとりの能力が高く、組織力もあって、すごくいいチームだったんですけど、立ち上がりに日本が守備のところでハメることができなかった。相手というより、自分たちに問題があったと僕は思っているので。そこがしっかりやれていたら、最初の15分さえ凌げていれば、カタールにも勝つチャンスはあった。アジア全体のレベルは上がっていますけど、日本はアジアの中ではナンバーワンでないといけないと思いますね」
――アジアカップを通して、森保監督の印象やマネジメントに関しては、就任当初からの変化を感じましたか?
「そんなに変わらないですね。森保さんらしいというか、優しくて、そんなに怒ったりすることもなく(笑)。選手が話していると、森保さんは見守ってくれていたり、僕らの話にもしっかり耳を傾けてくれますし。そこはたぶん、選手たちの自立を促すというか、選手ひとりひとりにしっかり判断させる、という落とし込み方をしているんだと思います。もちろん、ベースとなる戦術はありますけどね」
――6月シリーズでは森保監督の代名詞でもある3-4-3に取り組みましたが、今後チーム力をさらに高めるためには、何が必要だと?
「一番は選手ひとりひとりの判断力というか、柔軟性でしょうね。3バックと4バックを使い分けるなら、なおさら選手の賢さが必要。自分たちのフォーメーションを自在に変えるためには、それに応じたプレーができるかどうか、プレーの選択肢をそれだけ多く持てるかどうかが問われる。
それだけじゃなく、前から取りに行くのか、ブロックを敷いて待つのか。森保さんが提示する戦術の中で、選手ひとりひとりが判断できるかどうか。その判断をチームとして合わせられるかどうか。そうした対応力や柔軟性をもっと磨く必要があると思いますね」
ケガしたことで気付けたことも。
――遠藤選手個人のことで言えば、昨夏以降の半年は、ワールドカップ終了後にベルギーに渡り、日本代表でもコンスタントに出場した。充実した半年だったと思いますが、その後の半年はアジアカップで負傷し、ベルギーリーグでプレーオフ1出場を懸けた終盤戦に出られなかった。やはり不完全燃焼?
「それはありますね、1年を振り返ると。でも、ケガをしたのも、何かのメッセージだと受け取っていて。長い期間オフがなかったので、休めと言われているのかなと。自分の身体を見つめ直す良い機会になったし、日本代表やシント・トロイデンの試合をスタンドやテレビで見て、気付けることもあった。そういう意味では、ケガ自体、そんなにネガティブに捉えていなくて。しっかり休めたので、新たな気持ちで臨めています」