Jをめぐる冒険BACK NUMBER
遠藤航が語る欧州2年目と森保J。
「残された時間は多くないけど」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2019/08/09 11:50
ベルギーでインタビューに応じてくれた遠藤航。言葉の節々に日本代表、海外組としての自覚を感じさせる。
ボランチをやるために海外に来た。
――ベルギーに来て、プレー強度が増したなかで、多少無理をした面も?
「それもあると思います。ポジション自体が変わったことが、自分の中では大きな変化だったというか。代表ではボランチでプレーさせてもらっていましたけど、(浦和)レッズや湘南(ベルマーレ)では3バックの一角でプレーしていたので。
もちろん、ベルギーのサッカーは激しいし、スピーディなので、中盤の選手にとっては負荷が掛かりやすい。気付かないところで疲れが溜まったのかなと。まあ、それでケガをしてしまうのは、まだまだだな、とも思いましたけどね」
――ベルギーでの1年、思い描いていた経験や成長は積めましたか?
「ケガをするまでは、イメージしていたように進んでいたというか。ワールドカップが終わって、ハセさん(長谷部誠)が代表から引退した。ボランチを誰がやるのか、というところで、僕はそこにチャレンジしたいと思って海外に来た。
ベルギーでも中盤で起用してもらい、代表でもボランチで使ってもらって結果を出せていたので、ある程度イメージした通りに成長できたかな、と思います。ただ、満足はできないし、これを続けなきゃいけない。さらにいいプレーをしていかなきゃいけないと思っています」
日本人選手が多い中での気配り。
――ベルギーのビッグ5(アンデルレヒト、ヘンク、ヘント、クラブ・ブルージュ、スタンダール・リエージュ)と対戦してみて、レベルの差は感じました?
「たしかに、上のチームにはうまい選手が揃っているんですけど、シント・トロイデンは上位チームに対して結果を残せたので、自信を持っていいのかなって。最終的にプレーオフ1圏内のトップ6には入れなかったですけど、チャンスはあると思っていて。ただ、若い選手が多いので、試合で監督に言われたことしかできない場合が多いんですよね。もう少し自分たちで判断できれば、もっといいプレーができるのかなと」
――これからヨーロッパでステップアップしていきたいという、同じ志を持った日本人選手が集まり、切磋琢磨した経験はどうでした?
「昨シーズンはマックスで6人もいましたからね(笑)。日本人の中でも試合に出られる選手、出られない選手がいて、僕は一番年上だったので、コミュニケーションを取ることを大事にしていました。(鎌田)大地(現フランクフルト)やトミ(冨安健洋/現ボローニャ)は試合にコンスタントに出ていたから、ステップアップしていけるかな、と感じながら。
タカ(関根貴大/現浦和)や(木下)康介(現スターベク)はあまり試合に出られず、(小池)裕太も全然出られてなくて途中で鹿島(アントラーズ)に移籍しましたけど、そういう選手たちもいる。自分も試合に出られていたけど、サッカー界の厳しさが改めて見えたシーズンだった。海外で活躍するのは簡単じゃないな、ということも改めて感じましたし。今シーズン、新たにやって来た選手たちは、僕がここに1シーズンいたことをメリットだと考えてもらって、いろいろ聞いてほしいですね」