Jをめぐる冒険BACK NUMBER
遠藤航が語る欧州2年目と森保J。
「残された時間は多くないけど」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2019/08/09 11:50
ベルギーでインタビューに応じてくれた遠藤航。言葉の節々に日本代表、海外組としての自覚を感じさせる。
冨安は本当に努力家で、真面目。
――日本の企業(DMM.com)が経営権を取得し、日本人(立石敬之氏)がCEOだからと言って、日本人選手全員が試合に出られるわけではない。冨安選手のように羽ばたいていく選手がいる一方で、関根選手のように帰国を選ばざるを得なかった選手もいる。そういう厳しい世界に自分も身を置いている、ということを改めて。
「すごく感じますよね。結果を出さないと生き残れない世界なので。サッカー以外の環境で苦労する選手も多いですしね。言葉の壁もあるし、生活環境に慣れなかったり、日本に帰りたいと思ってしまったり。そうしたことを含めて海外移籍だし、海外挑戦。そこに関して自分はクリアにできているというか、こっちの生活を楽しめているので、そこは自分の強みかな、と思っています」
――ボローニャへとステップアップした冨安選手の成長ぶりを間近で見ていて、どう感じました?
「彼は本当に努力家で、真面目。若いけど、落ち着きもある。このチームで誰よりもトレーニングをやっていて、リスペクトできる存在でしたね。コーチングスタッフに『やり過ぎだ』と言われていましたけど、それも彼のスタイルで、そうやってステップアップしていったので、僕も嬉しい気持ちで見送りました」
ちょっと焦りを感じた1年でもあった。
――今年のキャンプでは、日本人がひとりだけになって、寂しかったのでは?
「寂しさはありましたけど、自分にとってはすごくいい環境だと思いましたけどね。英語をしゃべらなきゃいけなかったので、ちょっとは上達したかな(笑)。意外と大丈夫でした。1年やっているので、チームメイトとも仲がいいですし。練習は長くてキツかったですけどね(笑)」
――ベルギーで1年を過ごしたことで、思い描く未来がよりはっきりと見えたんじゃないですか?
「ベルギーに来る前から、もともとブンデス(リーガ)やプレミア(リーグ)でやりたいという想いがずっとあって。それは変わらず持ち続けています。でも、ステップアップを考えたとき、ちょっと焦りを感じた1年でもあったんですよね。僕は海外に移籍したタイミングが遅かったので、1年経ってみて、さらに上を目指すには、年齢的に残された時間は多くないな、っていうことを改めて感じて。ただ、のんびりというか」