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留学生のいない名門公立バスケ部、
広島皆実と能代工が練った作戦とは?
posted2019/08/08 17:30
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
Miho Aoki
令和初の“高校バスケ・夏の王者”は、強かった。
昨年末のウインターカップで、圧倒的な力の差を見せつけて優勝した福岡第一(福岡)。ガード2人とセンター1人、チームの軸となるポジションに去年のスタメンが3人残った今年のインターハイは、ウインターカップ閉幕直後から「優勝最有力候補」と目されていたと言っても過言ではない。
そしてその見立てのとおり、福岡第一は平均得点95.6点、平均失点55.8点という文句のつけようのない内容で、トーナメントをぶっちぎった。
それでもエースガードの河村勇輝は、「この優勝はあくまでもウインターカップのための通過点」と淡々と語り、河村とコンビを組む小川麻斗は「ディフェンスの甘さが目立った」と反省。このチームの死角が一体どこにあるのか……。ライバル指揮官たちのそんな嘆きが、今にも聞こえてきそうな気がする。
アフリカ人留学生がいると強い。
そんな福岡第一を筆頭に、男子高校バスケ界の上位を多く占めているのが、アフリカ人留学生を擁するチームだ。
バスケットボールが3メートル5センチの高さにあるゴールにボールを入れる競技である以上、彼らが持つ2メートル超の身長、それと同等かそれ以上に長い腕、驚異的な跳躍力は、明確かつ大きな優位性を持つ。
さらに、彼らはパワーと筋量にも優れており、ゴール下のコンタクトプレーにも強い。今大会でベスト16に進出したチームでは8チーム、ベスト8で6チーム、ベスト4で全チームがいわゆる“留学生チーム”だった。
県立広島皆実(広島)と県立能代工業(秋田)は、日本人のみのメンバー構成でベスト8まで勝ち上がり、広島皆実は報徳学園(兵庫)、能代工業は開志国際(新潟)と、ともに留学生チームの前に涙をのんだ。