“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
エース西川潤「正直ホッとしてる」。
OB俊輔らも悲願だった高校日本一。
posted2019/08/02 20:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
1年前の再戦が決勝の舞台で実現した。
沖縄で行われたインターハイ決勝、桐光学園vs.富山第一の一戦だ。
両校は昨年大会の準々決勝でも相見えていた。その試合では2年生エースストライカー、西川潤の圧巻のハットトリックで5-0と桐光学園が大勝。もっともハイライトとなったのが、2-0で迎えた前半アディショナルタイムにの西川による5人抜きゴールだった。
「YouTubeで物凄い再生回数を数える程、多くの人に自分たちがやられる姿が見られた。本当に悔しかった」(富山第一・加納靖典ヘッドコーチ)と、屈辱的な敗戦だった。
今大会の決勝は富山第一にとってはリベンジを果たしたい一戦。一方、桐光学園も昨年の準優勝の雪辱を期す試合となった。
一進一退の攻防が続いた前半。
試合は、1点を争う激闘となった。
スタートはともに3バックシステムを採用した。2年連続決勝進出となった桐光学園は、3バックの前にダブルボランチを置き、前線を西川の1トップ、神田洸樹とラナイメアー祈安の2シャドーを置いた3-4-2-1。インターハイでは初の決勝進出となった富山第一は、3バックの前に10番の高木俊希をアンカーに、その前に小森登生と広瀬翔一朗を置き、攻撃時は2シャドー、守備時は3ボランチにして中央のスペースを消し、さらに前線に碓井聖生と鈴木崚加の2トップを配置した3-5-2。
前半は中盤での激しい攻防が繰り広げられた。
16分に右サイドからのパスを受けた西川が強烈なミドルシュートを放つと、富山第一も高木、小森、広瀬の中盤の逆三角形がセカンドボールを拾いながら、正確なパス交換で攻撃のリズムを作り出した。
守備組織も両チーム際立っていた。桐光学園は奈良坂巧、安久高貴、荒井ジュリアン海都の180cmオーバーのCBが高さと強さを生かしてアタッキングエリアで自由を与えなかった。富山第一は3ボランチのプレスバックと、真田滉大と中園享成の両ウィングバックがサイドでボールを収めて、奪ってからのカウンターの起点を作るなど、前半の35分間はまさに一進一退の攻防が続いた。