太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
もう“東京五輪後”を見据えている、
フェンシング協会は改革を恐れない。
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph byKyodo News
posted2019/08/03 18:00
世界ランキング1位となった見延和靖。トップランクになった日本人選手は、太田雄貴会長以来、2人目となる。
スポンサー企業との良好な関係。
たとえば、今年4月に協会のオフィシャルパートナーになってくださった日産自動車さん。電気自動車と同じく電気を用いるフェンシングは、イベント会場で電気自動車「リーフ」の蓄電池を活用してフェンシングを行うことで、斬新な形でブランド訴求をすることができる、といった事例については、これまでにもお伝えしてきた通りです。
先日は私個人が、日産の「Nissan Excitement Ambassador」にも就任しました。ワクワクするような日産の技術をわかりやすく楽しく世に伝えていくお手伝いをする役割をお引き受けしました。日産が協会を、協会が日産をパートナーとして支え合い互いの存在感を高めていく、そんな形を作っていければと考えています。
スポンサー企業との良好な関係、ということでいえば、東京グローブ座での開催など、演出面での大きな取り組みを進めてきた全日本選手権に関しても、同じことがいえます。2019年度の決勝は11月2日・3日に、新しい渋谷公会堂で行われる予定ですが、昨年まで大会をサポートしてくださっていた多くの企業さんが、今年もスポンサーを続けてくださっている状況です。
理想は、そのような既存のスポンサー企業や新しいスポンサー企業と、TOKYO2020をまたいで複数年の契約を結んでいくことです。それが全日本を含めたポジティブな動きを続けていくための原資となります。
1億円1社よりも、1000万円10社といったように、数多くの企業さんにスポンサードいただいて、万が一どこかの企業さんが外れてしまった場合のリスクを分散するというのも意識していきます。いずれにしても、改革を進めるための安定財源という課題は、ここからもう一段ギアを上げて進めていきます。
組織内部を大きく変えるフェーズに。
もう1点、2期目に入るこのタイミングで大きく作り変えたのが、組織です。ありがたいことにこれまで、さまざまな取り組みをスピード感を持って進めることができました。
一方で、そうした速度を保ちながらも、組織全体にガバナンスを利かせる、ということを意識していかなければなりません。持続可能な組織づくりは、僕が会長の間はもちろん、僕がその任を離れた後のためにこそ、重要になってきます。
前期の会長就任以降、組織改編は徐々に進めてきていたのですが、既存の組織体系を作り変えるのには時間がかかります。まずは手をつけられるところから様々に改革を進め、そしてフェンシングは革新的だというイメージを世にもってもらうことから始めたわけですが、いよいよ組織の内部も大きく変えていくフェーズに入ってきました。