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久保建英はジダンの好みとなるか?
“元祖・神童”玉乃淳が見る将来性。 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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posted2019/08/01 11:50

久保建英はジダンの好みとなるか?“元祖・神童”玉乃淳が見る将来性。<Number Web> photograph by Getty Images

ICCのアトレティコ・マドリー戦に出場した久保建英。強烈なミドルシュートで3点目を呼び込んだ。

22歳までの4年間をひとつの区切り。

 ならば、例えばレンタルで、ラ・リーガ、あるいは他の欧州リーグの1部や2部のクラブで経験を積み、それからマドリーのトップチームに戻るという選択肢はないだろうか。

 現在のマドリーで言えば、ルーカス・バスケス(エスパニョールにレンタル移籍し、1年後にトップチームへ)やダニエル・カルバハル(ドイツのレバークーゼンに移籍し、1年後に買い戻しオプションを行使されてトップチームへ)のようなパターンだ。

「久保くんにとっての最高のゴールは、マドリーでトップデビューを飾り、定着することでしょう。だとすれば、例えば22歳までの4年間をひとつの区切りとして考え、カスティージャとトップチームとを行き来しながら実力を蓄えつつ、チャンスを待つのがベストだと思います。

 1部ならともかく2部のクラブにレンタルされると、それこそゴリゴリの結果を求められる。1部にトップチームのあるクラブが多い2部Bより、もしかすると2部のほうがさらに削り合いが激しく、日本人には難しいリーグかもしれません」

 もっとも、現在の久保に追い風が吹いているのも事実だ。マドリーへの移籍直後からトップチームの北米遠征に帯同し、錚々たるビッグネームに交じってのトレーニングで物怖じすることなくその実力をアピールした。

 プレシーズンマッチ初戦のバイエルン・ミュンヘン戦(インターナショナル・チャンピオンズ・カップ=ICC)では、ビニシウス・ジュニオールに絶妙なスルーパスを通すなど、途中出場で随所にそのフットボール・センスを垣間見せている。

出場2試合はインサイドハーフ起用。

 さらにポジション争いのライバルと目されていたギャレス・ベイルは退団が決定的で、同じくジネディーヌ・ジダン監督の期待が大きかったマルコ・アセンシオは、ICC第2戦のアーセナル戦で左膝前十字靭帯及び外側半月板損傷の重傷を負い、長期離脱となった。

 久保、あるいはブラジル人で同い年のロドリゴのトップチーム昇格が、にわかに現実味を帯びている。その可能性を見極めるテストの場でもあったICC第3戦のアトレティコ・マドリー戦は、1-6と思わぬ大差がついた62分に投入された。

 しかも直後に両チームともに退場者を出すという難しい状況で、思うように力を発揮できたとは言えなかった。70分には縦パスをカットされ、失点の原因を作ってもいる。

 とはいえ、出場した2試合はインサイドハーフでの起用。サイドだけでなく中央でも使えることを証明した久保の存在が、ジダン監督の中で日に日に大きくなっていったとしても不思議はないだろう。

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