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久保建英はジダンの好みとなるか?
“元祖・神童”玉乃淳が見る将来性。
posted2019/08/01 11:50
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Getty Images
アンドレス・イニエスタとフェルナンド・トーレスが、日本風に言うなら「同期」である。
彼らと同じ1984年生まれ。ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)の下部組織で育ち、15歳でアトレティコ・マドリーのユースに加入した玉乃淳氏は、同い年の"怪物"2人の成長過程をライバルとして、チームメイトとして間近で見てきた稀有な日本人だ。
「正直、アトレティコのカデテ(15~16歳のユースカテゴリー)に入った時は、超余裕でした。いきなりトップ下のポジションを任されましたし、当時は“自分最強”って思ってましたからね(笑)」
しかし、日本サッカー界の“元祖・神童”は、ひとつ上のカテゴリーでレベルの高さを痛感させられる。
「楽勝だと思っていたのが、急に厳しくなりましたね。トーレスやマヌ・デル・モラルなどがいた当時のアトレティコのフベニール(17~19歳のユースカテゴリー)は、ヨーロッパチャンピオンにも輝いた、まさに黄金世代。レベルは高かったですね」
イニエスタ見たさに学校をサボった。
そして、バルセロナのユースにはイニエスタがいた。フベニールのアトレティコ対バルサ戦には、トーレスとイニエスタの直接対決を観ようと、多くのファンが押し寄せたという。もっとも、この世代のトップランナーは「余裕でイニエスタ」だったと、玉乃氏は振り返る。
「僕もイニエスタ見たさに、学校の授業をサボってバルセロナまで飛んだくらいですからね(笑)。そうそう、“イニエスタ練(習)”というのが当時はあって、センターサークルでボールを止めて、ノーステップでサイドチェンジするっていう高度なプレーなんですけど、『それができない奴はボランチでは使わない』って、アトレティコでも普通に言われてました。それくらい、イニエスタは特別な存在だったんです」