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久保建英はジダンの好みとなるか?
“元祖・神童”玉乃淳が見る将来性。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2019/08/01 11:50
ICCのアトレティコ・マドリー戦に出場した久保建英。強烈なミドルシュートで3点目を呼び込んだ。
シーズン通して戦うのは難しいのでは。
18歳未満という年齢や外国人選手という障壁もあって、結局アトレティコのBチームではプレーできず、17歳で帰国を決断した玉乃氏。その後、東京V、徳島ヴォルティス、横浜FCなどに籍を置き、2009年12月に現役を引退するのだが、そんな彼の目に、同じく若くしてスペインのビッグクラブに移籍した久保建英は、どのように映っているのだろうか。
「もともと好きな選手なので、彼のプレーは追いかけていましたよ。凄いですよね、この急激な成長曲線」と“新しい神童”に感嘆しながらも、しかし「レアル・マドリーのトップチームでも通用するのではないか」という世間の風潮には、慎重な姿勢を崩さない。
「例えばスペイン国王杯とかチャンピオンズリーグのグループステージとか、単発では通用するかもしれませんが、1シーズンを通して、あの過密な日程を戦うのはフィジカル的にもまだ難しいでしょう。そこはマドリーの首脳陣も、さすがに行けるとは踏んでいないと思います。1年目は基本的に下(Bチーム)でやらせるんじゃないですかね」
リーガ3部は「めちゃくちゃ荒い」。
では、Bチームのレアル・マドリー・カスティージャが主戦場となるとして、チームが所属する2部B(実質3部)とは、どんなステージなのだろう。アトレティコ・ユース時代、練習試合で頻繁に2部Bのチームと戦った経験のある玉乃氏は、こう語る。
「めちゃくちゃ荒いですね。というのも、もう20歳を過ぎているのにトップチームや他の1部や2部のクラブから声が掛からず、2部Bで埋もれたままの選手がごろごろいるからなんです。トップに上がることを諦めてしまった選手が、可能性がありそうな若い才能を壊しに来る。悲壮感を漂わせながら……マジでヤバかったですね(笑)」
ただその一方で、トーレスのように16、17歳ですでにトップとBチームを行き来しながら、Bチームでは完全に主力としてプレーするようなスーパーな選手もいる。
つまり18、19歳あたりで2部Bに留まっている段階で、“危険なサイン”が読み取れるというわけだ。そう考えれば、現在18歳の久保は「決して若くはない」(玉乃氏)のだ。
「トーレスは16歳の時、すでに2部Bで圧倒的な存在でしたからね。だから18歳の久保くんは、もし2部Bでやるのなら、なおさら圧倒的じゃないといけない。毎試合3点は取ってます、くらいの結果を残さないと、マドリーのトップに上がるのは難しいと思います。イニエスタもアンカーをやっていたのに、めちゃくちゃ点を取ってましたからね」