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久保建英はジダンの好みとなるか?
“元祖・神童”玉乃淳が見る将来性。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2019/08/01 11:50
ICCのアトレティコ・マドリー戦に出場した久保建英。強烈なミドルシュートで3点目を呼び込んだ。
モドリッチとクロースの壁を越えろ。
ただ、チームの駒になるにしても求められるのは、「強靭なフィジカル」だと玉乃氏は強調する。仮にインサイドハーフをメインポジションとすれば、蹴落とさなくてはならないのはモドリッチとトニ・クロースだ。
この高い壁を越えるためには水準以上の守備力と、そして守備に奔走しても攻撃の精度が落ちないだけの「フィジカルタフネス」を身に付ける必要があるだろう。
アトレティコ・ユース時代、ライバルチームであるマドリーの大黒柱だったジダンに憧れ、追っかけまでしていたと言う玉乃氏。そんな彼にとって、久保を取り巻く現在の状況は「夢のよう」に映るそうだ。
「あの頃、2週間に1度通っていたサンティアゴ・ベルナベウ(マドリーの本拠地)で、日本人選手がプレーするかもしれないんですよ。マドリーのトップチームに上がれるかどうか──そんな議論ができること自体が、僕にとっては夢のようなんです。
久保くんには当時の“銀河系軍団”で言うと、スティーブ・マクマナマンとか、サンティアゴ・ソラーリみたいな選手を、まずは目指してほしいですね。どんな選手とも組めて、しっかりと周りを活かせる選手。そして、いつか彼のフィジカルが完成形に近づいた時、改めて、例えばイニエスタのようなスーパースターと比較してみたいと思っています」
一喜一憂せず、根を生やしてほしい。
過熱する「久保フィーバー」を、さらに焚きつける人も、少し距離を置いて冷めた目で見つめる人も、根底にある思いはきっと同じだろう。この18歳の若者が、マドリーという世界一のメガクラブで成功を掴むことは、玉乃氏だけでなく、日本のすべてのフットボールファンにとっての夢なのだ。
先日のアトレティコ戦のように、これからも上手く行かないことはいくらでもあるに違いない。けれど、目の前の出来事に久保自身も、そして我々も一喜一憂しないことだ。今は草の丈を勢いよく伸ばす時ではない。目には見えない地中深くに、大きく根っこを広げる時なのだから。
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