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女子W杯優勝でアメリカに吹く風。
政治とスポーツの関係性を考える。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2019/07/20 11:40

女子W杯優勝でアメリカに吹く風。政治とスポーツの関係性を考える。<Number Web> photograph by Getty Images

スポーツと政治の関係性は、アメリカと日本で大きく異なる。参考にできる点はどこにあるのだろうか。

「この会話こそが次へのステップ」

「皆さんは、この道を毎日、歩いている。ともに生きている人たちと毎日、行き交っている。周りの人たちのためにできることは、何だろう? 家族のため、親しい友人たちのためにできること。もっとも親しい10人のために。もっとも親しい20人のために。もっとも親しい100人のために。

 その責任が1人、1人にある。今は(すべての人が)結束する時です。この会話こそが、次へのステップなのです。協力をしなければなりません。皆さんが必要なのです」

 アメリカ代表が優勝したことと同じぐらい、ラピーノーのスピーチがメディアで頻繁に取り上げられているのは、女子サッカーの関係者にとっては複雑な心境だろうが、彼女のスピーチはそれぐらいインパクトがあるもので、「Minority=少数派」だけではなく、「Majority=多数派」の気持ちも揺さぶっている。

この話は、どこか遠い外国の話だろうか。

 そんなの、お前が住んでいる外国の話だろ。

 そうだろうか。

「(同性愛へ対し)多様性を認めないわけではないが、(婚姻を)法律化する必要はない。『趣味』みたいなもので」などと言った政治家の先生がおられたぐらいだ。

 日本にだって「同性愛」の人々は存在するし、「Minority=少数派」も存在する。日本にも彼らに対する偏見や差別は存在する。

「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(晩餐会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」と言われた先生もおられたぐらいだから、「外国は外国。日本は日本」と考える人がいても不思議じゃないが、本当にそれは外国の話であり、日本やそこに住む人々には関係ないのだろうか。

【次ページ】 日本に現れたらどんな反応が?

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ミーガン・ラピーノー

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